【イベントレポート】

「e-Learning World 2002」が開催~同期型eラーニングに注目集まる

■URL
http://www.elw.jp/

ELW会場入り口  eラーニング関連の総合展示会「e-Learning World 2002」が、24日から開催している。2001年の「e-Learning World」に続いて2度目の開催となった今回は、前回の1.7倍規模である179社・団体がブースを設置し、製品展示やデモを展開している。またeラーニングの運営ノウハウや企業・学校による導入事例などの講演で構成する「e-Learning Forum 2002 Summer」も同時開催中で、約40件の講演が行なわれる予定だ。
 「e-Learning World 2002」の出展ブース内容を大別すると、eラーニングプラットフォームやラーニングマネージメントと、eラーニング用のコンテンツ・サービスの2つに分けられる。とはいえ、大手ベンダーなどその両方を扱っている企業も多く、展示会場内は特にゾーン分けはされていない。また対象ユーザーは企業向けのものが8割以上で、残りは専門学校・大学向けが多く、コンシューマー向けは英会話教材などごく少数だった。

 会場内で目立ったものとして、同期型eラーニングプラットフォームがある。同期型eラーニングとは、教室での講義に近い要素を持ったeラーニング形式で、講師用と生徒用の専用ソフトをそれぞれ利用する場合が多い。講師の授業を動画で配信しながら、ホワイトボードへの書き込みやパワーポイントでの教材提示ができるほか、生徒がチャットやIMなどを用いて、その場で講師に質問したり、反応を示すことが可能となっている。同期型eラーニングプラットフォームでは、場所を選ばずにリアルタイム講義が実現できることに加え、遠隔地の支社間などでビデオ会議やコラボレーションツールとして活用する、また講義の内容を記録してオンデマンドで配信するなどの活用が可能だ。そのため、単なる企業内トレーニングに留まらず、ナレッジ(企業内に蓄積された知識やノウハウなどを指す)活用ツールとしての注目が高まっている。同期型eラーニングプラットフォーム製品としては、マクニカが展開する「Centra」シリーズや、「Interwise」(理経、ドーセントなどで展示)、応用システム研究所の「Netlive3.0」、韓国産の「MSTLive Class」などがあった。

 またこれら同期型eラーニングプラットフォームに加えて、eラーニングをはじめとした企業内研修・教育などを管理し、効率の良い人材育成や専門知識・技術の習得を実現する“ラーニング・マネジメント・システム”(以下LMS)も、注目を集めつつある。単なる学習プログラム管理に留まらず、企業内に蓄積されたナレッジを研修や学習に生かすことで、企業の業績向上に結びつく人材育成を目標としたシステムである点が特徴だ。さらにWebポータルと連携することで、企業内ナレッジマネジメントを効果的に実現できるメリットもあるという。
 LMSを展開している企業では、まずドーセントがアクセンチュアなどのパートナー企業と共同で大規模なブースを展開していた。またNTT-Xでは、日本産のLMS「Xcalat II」を活用した“いつでも・どこでも・デバイスを選ばずに欲しいナレッジにアクセス”できる学習スタイルの「Learning Workstyle」を提案。ラーニングのためだけには時間がとりにくい企業の現状を反映し、例えば出先からPDAで教材を閲覧したり、製品見積もりに関する情報を出先で入力し、会社に戻ってサーバーにアップして計算を行なうなど、“業務のなかで学んでいく”ラーニングスタイルを提案していた。
 クリック・トゥー・ラーンでは、企業向けラーニングプラットフォームの新バージョン「Aspen」を出展。リアルの集合研修とeラーニングを混在したブレンディング学習の管理ができるほか、同社の独自機能「ラーニングコンテンツマネジメントシステム」によって、チームでの大規模コンテンツ開発・制作が可能な点を打ち出していた。また今回初出展となった日本オラクルは、同社初のLMS製品「Oracle iLearning」を出展。当面はASPでの提供となるが、2003年にはハードウェアでの導入も開始する予定で、Oracleの人事管理システム「Oracle HRMS」などを導入している企業に向けたアプローチを行なっていくという。

NTT-Xの展示ブース(左)、クリック・トゥー・ラーンは新製品「Aspen」をプッシュ(中)、松下電産の「講義自動収録システム」(右)

 eラーニングの導入では、システムや回線の問題もあるが、コンテンツをどうやって制作、もしくは調達するかという問題が大きな障害となる場合も多い。会場ではTACやビズバレー/大原学園といったコンテンツプロバイダーの展示に加え、企業・学校内でのコンテンツ制作を支援する展示も多く見られた。アートスタッフでは、大学向けのシラバス・教育コンテンツ作成ができるASP形式の「Campus EOS」を紹介。授業に使った資料や講義情報などを追加していくことで、負担をかけずにeラーニング教材や充実した大学ホームページの作成ができるという。松下電器産業では、デジタルビデオカメラとPCなどを用いて、簡単にeラーニングコンテンツを簡単に作成できる「マルチメディア講義録システム」を紹介。講師が事前にパワーポイントで教材を作成しておけば、講義終了と同時に講義録を公開することも可能だ。またフォトロンでは、8月発売の映像ナレッジ・マネジメントシステム「Power Index」を出展。デジタルビデオから画像キャプチャー、エンコード、音声認識による講義録作成、サムネール自動書き出し、インデックス作成などを全自動で行なえるもので、セミナーや作業実演などを収録したビデオから、少ない手間で動画教材を作成できるという。
 またeラーニングをサポートする入力機器として、イー・ステージは、超音波手書き入力装置「WolsPAD」を展示。専用パッドとペンを講師と生徒の双方が使うことで、リアルタイムの添削指導などができるほか、液晶モニターにアダプターを取り付けて、パワーポイントなどの教材上に書き込みを行なうことも可能という。またデジタル・ナレッジでは、デジタルペンシステム「ANOTO」(コクヨによる参考出品)とメールを用いて、オンライン回答添削のデモを行なっていた。なおANOTOの製品化は年末から2003年春を予定しているという。

 「e-Learning World 2002」は7月26日まで、東京ビッグサイトで開催中だ。

エンコードからインデックス作成までが全自動でできる「映像ナレッジマネジメントシステム」(左)、「WolsPAD」を使ったデモ(中)、ANOTOを用いたデジタル・ナレッジのデモ(右)

(2002/7/25)

[Reported by aoki-m@impress.co.jp]

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