【イベントレポート】

Sun Microsystemsのプライベートイベント「Sun Network Conference」開催

キーノートにScott McNealy氏が登場、Linuxクライアントなどを発表

■URL
http://sunnetwork.sun.com/
http://www.sun.com/smi/Press/sunflash/2002-09/sunflash.20020918.2.html

 米Sun Microsystemsは、久々のプライベートイベントである「Sun Network Conference」を18日から米国サンフランシスコ市で開催している。このところSunの大規模イベントというと、「JavaOne」しかなく、今回のイベントは、同社の全体的な方向を示すものとなる。

 初日のキーノートスピーチには、今年5月に社長兼COOに戻ったScott McNealy氏が最初に登場。ただし、今回はSunのイベントということもあるのか、いつもの攻撃的なMicrosoftの悪口は聞けなかった。

 


 

 Sunの現在のキャッチフレーズは「We make a net work」。つまり「私たちはネットを使えるようにします」である。Sunは、具体的には3つのキーワードをモットーとしているという。それは、「Choice」、「Inovation」、「Value」の3つで、顧客に対して「選択の自由」、「革新的な製品、システム」、「価値のあるもの」を提供するのだという。このキーワードの背景には、Windowsという選択肢しかなく、クライアントマシンでは競争相手がいないために革新的な製品が出てこないというMicrosoftへの対抗意識があるのだと思われる。

 今回のイベントにあわせていくつかのプレスリリースが出されているが、今日のキーノートスピーチでは、1.2GHzで低消費電力のSparc IIIチップと、これまで概要のみが公開されていたデスクトップPCについて触れられた。


Scott McNealy氏

 新しいSparc IIIチップは、130ナノメートルのプロセスを採用。製造はTexas Instrumentsが行なう。クロック周波数は1.2GHz。しかし、消費電力はピークで53Wと小さいのが特徴だ。

 従来Sunは、安価なクライアントとして「Sun Ray」と呼ばれるシンクライアントを出荷していたが、今回発表されたのは、Linuxをインストールし、SunのロゴをつけたPCだ。現状、これは「Sun Enterprise Client」(あるいはプロジェクト名からMad Hatter)と呼ばれている。これは、汎用のPC市場にSunが参入するのではなく、サーバーと連携して固定的なアプリケーションを実行するマシンをシステムの一部として提供するものだ。しかも、ハードウェア自体はSunが製造するのではなく、Sunの仕様にあわせてOEMが製造し、これにSunのロゴを付けるということだ。この件に関してはSunは非常に慎重で、普通のPCとして見られることや、PCハードウェア市場に参入すると取られることを非常に警戒している。かつて、「Sun386i」という386マシンにSun OSを組み合わせて、PCを駆逐するなんてことを言っていた過去も影響しているのかもしれない。

 デモでは、無線タグを使った「AutoID」と呼ばれるプロトタイプが登場した。無線タグは、タグごとに割り振られた個別のIDを無線で応答するもの。これを付けた商品を棚から動かすと、自動的に在庫数が減らされたり、タグのコードから、製造ロットを調べるといったことが可能になる。まだ無線タグ自体が1ドル程度の価格なので、個別の商品には付けられていないが、出荷時のパレット(フォークリフトで運ぶための木製の台。この上に商品ケースをひとまとまりにして載せる)単位などではすでに使われ始めており、パレットがセンサーを通過した時点で、出荷を判定するといった使われ方をしている。


 Sunは、1社でプロセッサからマシン、そしてOSまでを提供しており、OSやプロセッサを別々の会社が提供しているPC市場とは違ったポジションにある。個別性能ではIntelのプロセッサに押され気味なところはあるが、全体的なシステムの提供という点では、HPなどのコンピュータ総合メーカーよりはいいポジションにいる。ある意味、PCインダストリに囲まれた状態なのだが、やはりエンタープライズ市場を中心にかつてのIBMがいたようなポジションを目指しているといった感じだ。

 さて、明日は、公開鍵暗号の提唱者であるWhitfield Diffie氏やJava開発者のJames Gosling氏がキーノートに登場する予定である。本誌では追ってレポートをお届けする予定だ。

(2002/9/19)

[Reported by 塩田紳二]

ほかの記事はこちらから

INTERNET Watch編集部internet-watch-info@impress.co.jp
Copyright (c) 2002 Impress Corporation All rights reserved.