【レポート】


ウォッチャー金丸の

「Spring Internet World'97」レポート

■URL
http://events.iworld.com/spring97/iw/

3月13日

 カリフォルニアの強い日差しを受けて会場の前にたたずむ私の心は、昨日とうって変わって軽やかだ。というのは、今朝のタクシー運転手の道路状況の判断がすばらしく、相変わらずのフリーウェイ渋滞に捕まるやいなや、すぐに一般道に降りてコンベンションセンターに向かったため、基調講演の開演予定時間より30分も早く到着できたからだ。インターネットもトラフィックの状況に応じて素早く回線を乗り替えてくれるような、回線の名ドライバー(この場合はネットワークエージェントか?)が必要になってくるのだろうか。

Intel副社長フランク・ギル氏のモーニングキーノート
 講演会場の最前列に着席しようとしたとき、私の斜め前に聴衆のほうを向いて着席している男性がいるのに気が付いた。実は、昨日行なわれたIntel社の個別テーマのコンファレンス(主題は「リアルタイム・コミュニケーション」)の会場にもそんな男性がいたのだが、実はこの人、手話通訳を行なっているのであった。他社の講演ではそんなサービスはなかったので、「人に優しい」Intelを印象付けるのに一役買っていた。

 ほぼ9割方埋まった聴衆を前に、演台のギリギリ前まで出てきてギル氏は話し始めた。まずWWWにアクセスするPCは、'97年には1億2千万台、'99年には2億2千万台に達するだろうという予測を示し、その台数の向上にIntelプロセッサは常に貢献していくとした。しかし、単にIntelはプロセッサーメーカーとしてだけではなく、共同作業のためのコミュニケーション分野や出版分野、インタラクティブな教育分野などの技術にも注力していくとした。

 同社のNetwork Multimedia Communication(NMC)Lab.では、MicrosoftおよびCiscoと共同開発を行なっていることを、企業間の共同作業の一例として提示した。前述のリアルタイム・コミュニケーションのコンファレンスでも、Intel Video PhoneとMicrosoft NetMeetingをCiscoのルーターを使って遠距離共同作業を実現させるデモを行なっており、3社の協力体制の強さを示している。今後、インターネット関連のアプリケーション開発には、それぞれの企業の強いところを持ちあう共同作業が必要であると感じさせる一例といえるだろう。

 また、企業のファイヤーウォール内でのこととしながらも、PCの自動サポートにも言及しそのデモを行なった。これは、「ヘルプディスク(自動)」とLAN上での「ディスクサポーター(人)」とのリアルタイム連携で、LAN内のPCに不足しているソフトが発生した場合や動作不良が起こったとき、LAN管理者はブラウザー上からそのPCの状態を把握し、そのPCのディスク内のソフトの登録・更新をリアルタイムに行なえるというシステムだ。もしこれが、インターネット上のサービスに広がればユーザーは喜ぶだろうが、サポート部門は24時間稼動体制となり大変なことになろう。

 このようなネットワーク型PCをIntelは「Connected PC」と呼んで、今後のPCの方向性と位置付けた。Connected PCの次世代PCは「Advancd Connected PC」というよりネットワーク機能を向上したタイプと、「Interactive PC Theater」というエンターティンメント性の高いタイプに分化していくとした。それとは別に、業務端末としての「NetPC」というコンセプトを示した。CompaqやDell、HP、Microsoftなどと共同でその仕様を作成中であるとのことだ。

 その他インタラクティブなサービスのデモとして、JamTV Music Network社の音楽ライブ映像のデリバリーサービスや、Wells Fargo社のオンラインバンキングサービスなどが登場した。Wells Fargo社のデモでは、Mondexのサービス内容をIntel VideoPhoneを使って遠隔地の説明員と直接話をするなど、まさにリアルタイムアプリケーションのオンパレードであった。これに加えて、インターキャストのような双方向性を持たせた放送技術も紹介したことから、どうしても前日のAppleのインタラクティブなQuickTime技術と比較してしまう。しかしながら、QuickTime技術がクリエーター向きの技術なら、このIntelのインタラクティブ技術群はまさに実用性一点張りで面白味が無いように思われた。

IBM副社長ジョン・パトリック氏のキーノート
 午後からは、IBMのインターネット・テクノロジー部門の副社長でもあるパトリック氏の基調講演に出席した。パトリック氏の講演は非常に概念的で時には哲学的であったため、私の英語力が及ばない場面も多々あったことを先に報告しておく。そう心して読んでいただきたい。

 まず、インターネットで何が起こりつつあるかから話が始まった。彼の定義からすると、グローバルLANの急拡大から始まって、WWWによる消費・流通の改革、マルチメディアの進化(ラジオがAMモノラルからFMステレオになったように)、そして至る所にIPアドレスが付けられるようになるという。

 その流れの中に、IBMが取り組む「e-business」(展示会場で最大面積をとったIBMのブース上にでかでかとこの文字が踊っている)というコンセプトがあると説明した。「e-business」は3つの『C』、すなわち「Content」「Commerce」「Collaboration」から成り立っている。

 「Content」(コンテンツ)への取り組みとして、中国の図書館の蔵書すべてをデジタル化して5千年の歴史的情報をWWWでサービスしようとする試みや、長野オリンピックに向けての子供向けマルチデータWWWサービス「Kid's PLAZA」を紹介した。「Commerce」(消費・流通)では、アメリカエアラインの航空券のバーゲンチケット・オンライン・オークションや、アウトドア用品メーカーL.L.Beanのサイト立ち上げによる売り上げ増の例をあげた。「Collaboration」(協調作業)では、子供の共同WWW作業サイト「SmokyNet」やLotus Dominoでの共同作業サイト「Team Exchange」を紹介した。

 このような「e-business」を成功させるのに必要なものとして、データのセキュリティの強化やバックボーン帯域の増強、情報量のスケールの増加、MCIやNetscapeなどと協力して行なっている「Grobal Internet Project」などの標準規格作り、そしてもちろん各分野ごとの協力が大切であるとした。

 上記の講演をたった一人でデモまで行なってしまうパトリック氏も凄いが、この壮大なコンセプトを実現していくIBMの計り知れない底力を感じずにはいられない講演であった。

■南ホール展示会場にて
 展示会場はとにかく広い。東京ビックサイト約2個分もあるわけだから、結局今日もざっとしか見ることが出来なかった。

・ネットスケープ Vs. マイクロソフト
 Netscapeの協力会社と、ActiveXサポートのMicrosoft協力会社の展示ブースが隣り合っており、まるでその小さいブース1つ1つがチェスの駒のようにも見える。果たしてこの勝負の行方は...。主催者もなかなか面白い展示配置をするものだ。

・Apple人気は衰えず
 昨日の講演の様子から人気のほどを心配していたのだが、杞憂だったようだ。前日プレゼンを失敗したGoLive社のところにも次々と質問者が来ていた。アメリカにも日本と同じファンは大勢いるようで...。

('97/3/13)

[Reported by 金丸雄一]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp