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英MondexらがICカード用OS「MULTOS(マルトス)」の詳細を明らかに

■URL
http://www.multos.com/
http://194.112.40.158/mondex/cgi-bin/show.pl?english+global&../english/documents/global/prel13214401.txt
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/9705/0516a.html

 本誌5月16日号でお伝えしたとおり、英Mondex社は5月15日、次世代のICカード用OS「MULTOS(マルトス)」推進のための企業連合体「MAOSCO(マオスコ)」を設立したと発表した。16日に日本で記者会見が行なわれたので、詳細をお伝えする。
 「MULTOS」は、英Mondex社が標準化を提唱するOSで、1枚のICカード上に複数のアプリケーションを搭載できるのが最大の特徴。ユーザーにとって、電子マネーやクレジットカードのほか定期券やマイレージなどのポイントシステムまであらゆる機能を一枚のICカードにまとめられるメリットがある。各アプリケーションは、パソコンなどを使ってロードしたり削除したりできるため、カードを再発行する手間もかからない。一方で、自由度が高い反面、ロードしたアプリケーションから別のアプリケーションに侵入し、個人情報を引き出すといったことも心配される。MULTOSでは、「ファイヤーウォール」と呼ばれるしくみを使って、ICカード上のアプリケーションがお互いに不正アクセスをできないようにすることでこうした問題をクリアし、セキュリティを保てるとしている。
 現在すでに第一世代製品のラボテストを日立と共同で行なっており、97年6月下旬より仕様書のライセンス供与を開始する予定。同時に、アプリケーション開発者には、MELと呼ばれるプログラム言語とAPIが提供される。C言語でもアプリケーションの開発はできるという。
 英Mondex社の最高技術責任者であるPeter Hill氏は、7年間かけてさまざまな共同研究を重ねた上での完成されたシステムであることを強調し、「MULTOSは、スマートカードにおけるWindowsを目指す」と語った。
 なお、98年第一四半期からMULTOSカードの商業提供を開始し、98年第三四半期から次世代カードを導入する予定。次世代カードでは、Javaカード(ICカードでJavaアプリケーションを利用するための言語仕様)にも対応する予定で、MULTOSとJavaカードは競合するものではなく、補完する関係にあるとしている。
 今回結成された「MAOSCO」では、MULTOSの業界標準化への推進、MULTOSの仕様書の継続的開発や管理、ライセンス供与や認証サービスの提供などを行なう。

('97/5/16)

[Reported by junko@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当 internet-watch-info@impress.co.jp