【業界動向】
日本電信電話株式会社(NTT)は、5月20日の朝日新聞朝刊の記事中で「高速伝送、来年度にも ADSL NTTが導入へ」と報道されたことに対し、「そのような予定はなく誤報である」と否定した。ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)は既存のメタル電話線を使って高速通信を可能にする技術で、先日は米Bell Atlantc社が家庭向けにADSL技術を使ったインターネット接続サービス開始についての発表をしたばかりだ(本誌5月20日号参照)。
編集部でNTTに取材したところ、ADSLについてはISDNとの相互干渉など技術的な問題を抱えており最終評価が下せない状態で、とても導入時期について発表できる段階ではないとのこと。ただし、導入に向けての評価試験を進めているとしており、ADSLサービスを行なわないとしていた従来(本誌'96年8月1日号参照)の方向を転換したことになる。具体的には今夏から特定の電話局を使ったフィールドテストを1年間にわたって実施する予定とのこと。
NTTでは以前、伝送距離の問題などで全国均一のサービス提供ができないことを理由にADSLサービスは導入しないとしていたが、現在は2010年頃までに予定している加入者線の完全光ケーブル化までの「つなぎ」としてADSLの導入を計画している。ただし、通信速度が下りで6~9Mbps程度を保証する代わりに地域を限定するか、通信速度は保証しないが全国規模で導入するか、どちらかの形態によるサービス提供となる可能性があることを明らかにした。
('97/5/20)
[Reported by okiyama@impress.co.jp]