【レポート】


大学に電子マネーがやってきた
――早稲田大学生協の場合――

 早稲田大学に、今年の4月より電子マネーが導入された。新入生約1万人を対象に実験的に開始したもので、6月現在で約4,000枚のICカードが発行されている。このICカードはあさひ銀行のキャッシュカードと生協組合員証がひとつになったもの。

 早稲田大学生協によると、導入した経緯としてまず銀行側から話があったこと、電子マネーによってレジの精算や人件費のコスト削減ができるのではないか思い、実験導入に踏み切ったという。導入して間もないが、もう少しICカードが広がれば、人数に対して十分な規模でない食堂の会計などもスムーズになるのではないかと話している。なお、今年度はあさひ銀行のみだが、来年度はもう少し規模を拡大して他の銀行の電子マネーなども導入する予定だという。

 今回は電子マネーを実際に利用している学生のレポートをお送りする。


早稲田大学 大学院理工学研究科修士課程1年
立川 崇之(tatekawa@planet.club.or.jp) 

■大学に電子マネーがやってきた

 '96年末に、それまで早稲田大学生協のカフェテリア食堂で利用できたプリペイドカードを廃止する旨の掲示が出された。プリペイドカードは若干の割引があり、小銭の問題がないのになぜ廃止するのだろうと疑問に思っていたところ、今年の初めに新聞に、大学生協が銀行と提携して、ICカード型の電子マネー実験を行なうという記事が出た。4月から実験が始まるという。

 4月に生協加入の案内があり、一般の組合員証か電子マネーを利用できるICカードの組合員証かのどちらかを選べるようになっていたため、前述の経緯から、迷わずICカードの組合員証にしてもらった。ただ、作成に1カ月程度かかるという難点があった。実際に申し込んでみると、手続き上の不備もあったが、やはり1カ月程度の時間を要した。これだけかかったのは、年度始めということもあるだろう。現在では2週間程度で発行できるそうだ。銀行口座を同時に開設した場合、まず預金口座の通帳が送られ、しばらくするとICカードが送られてくる。電子マネーの上限額は3万円。


■電子マネーの使い方

 ICカードは従来の生協のカフェテリア食堂でのみ利用できたプリペイドカードとは違い、大学内の生協の店舗であれば、異なるキャンパスも含めてすべての場所で利用できる。

 ICカードの利用方法は、まず生協の各店舗に備え付けられている入金機、または大学構内、周辺のATMにカードを挿入して銀行口座からの入金を選択する。暗証番号を入力すると銀行のホストコンピューターに接続され、正しければ入金する金額を入力する。入金するとカードが出てきて終了。これで各店舗での支払いに利用できるようになる。

 実際に買い物に使うときは、レジでカードを提出すると、そのカードをレジの端末機に入れるだけで支払いがすむ。このときに、暗証番号の入力やクレジットカードの使用の際に行なわれる署名など、本人かどうかの確認はとられない。そのため、カードを紛失した場合は電子マネーを他人に使用される恐れがあるが、紛失の届け出をすれば、たった数分で使用できなくなるとのこと。現金を持ち歩くよりは、かえって安全かもしれない。入金をするときに暗証番号を入力するが、数字4桁は少々短いように思う。

■使ってみての感想

 なお、電子マネーの利用状況は、照会機にカードを挿入すると、過去20件の出納がリストになって出力されることにより分かる。

 実際に電子マネーを利用して思ったことだが、半端な額になる買い物の場合は、小銭を用意しないですむので、電子マネーは確かに便利である。しかし、100円のパンを1個を買う場合には、100円玉を1枚出したほうが、支払いははるかに簡単で便利だと思った。また、このICカードは店舗、レストランでのみ利用可能で、無人の自動販売機では利用できない。理系のキャンパスでは夜遅くまで研究のために大学に残っている人が多いので、夜の買い物にはカードがまったく利用できない。大学の前にコンビニエンスストアがあるといっても、それは生協の店舗ではないので、電子マネーを利用出来ないし、銀行も夜間は閉まっている。つまり、夜にはカードは何の役にもたたなくなる。

 このICカードを利用する利点としてポイント制を実施していることが挙げられる。300円以上の買い物に対して100円ごとに1円の割引がある。さらに100円の買い物ごとに1ポイントが与えられ、そのポイント数に応じて年度末にプレゼントなどがもらえるしくみ。このポイントのうち3割は社会還元費に充当され、残りが利用者に還元される。この割引は、生協が再販制度から外れているため、もともと10%引きになっている書籍や、15%引きになっているCDには適用されない。書籍やCDの割引に比べると、ICカードによる恩恵は小さく見えるようだが、もともと価格の安い生協で、さらに1%引きというのは、文具などを大量に購入する場合には大きい。また、生協に加入する際に出資金を納めているが、これは卒業時に返還される。この返還に際し、ICカード利用者の場合はそのカードを利用する銀行口座に振り込まれるので、手続きが簡略化される。

 ICカードは、生協独自の特典を差し引いて考えても、安全面の問題もある程度解決し、従来のプリペイドカードにはなかった便利な面が追加されている。銀行口座と直結されている点も便利である。私の希望としては、夜間でも稼働する自動販売機でも使えるようにして欲しい。計画では、ICカードを扱う銀行を増やすそうなので、口座開設の手間も省けそうだ。これで学内だけではなく、大学周辺でも利用できるようになれば、利用価値が非常に高くなると思う。

('97/7/10)

[Reported by tatekawa@planet.club.or.jp / junko@impress.co.jp]


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