【特集】


今注目のメールソフト、ポストペットで遊ぼう!

 最近話題になっている一風変わったメールソフト「ポストペット」。今年の1月にMacintosh版のβ版が公開されて以来、ひそかなブームとなっていたが、9月にWindows版の正式版が登場したことから、話題を呼んでいる。この「ポストペット」は、So-netのホームページで公開されており、すでに7万件を超えるダウンロードがされているとのこと。読者の中にも、すでに夢中になっている人もいるのでは?

 さて今回は、ポストペットを知らない方のために、ポストペットってどんなもの?といったことから、ちょっとマニアックな楽しみ方までをご紹介する。すでに使っている人も、新たな発見があるかも!?



【もくじ一覧】

●まだ使ったことがない人に贈る、ポストペット入門

-ポストペットってなに?
-ダウンロードをしてみよう!
-お試し版と正式版の違い
-ポストペットの設定

●ポストペットってこんなソフト!

-どんなペットが飼えるの?
-ペットの育て方
-「おやつ」をあげよう!
-ひみつ日記ってなに?
-ペットが戻ってこない!ポストペットユーザー以外にペットメールを出した場合
-ペット同士の恋愛もある?!
-寿命と死後の世界
-複数のペットを同時に飼うには?
-ペットのお引越し
-ポストペットマニアの楽しみ方

●ポストペットとその仲間たち

-「ポストペットパーク」とはどんなところ?
-ペットが帰ってこないetc.トラブルが発生したら?
-ポストペット関連のホームページ

●ポストペット開発者にインタビュー!!


●まだ使ったことがない人に贈る、ポストペット入門

 どんなものか知らない人のために、まずはソフトの概要や、ダウンロードの仕方などを紹介しよう。

-ポストペットってなに?

 この「ポストペット」は、メールを送受信するというただのメーラーではなく、「電子メールを使ってペットとのコミュニケーションを楽しむ」ためのソフトだ。

「ポストペット」を起動すると、可愛いらしい「部屋」が登場する。そこには「ペット」が住んでおり、ポストペットを使っている人同士が、各自飼っているペットを使ってメールを送受信すると、さまざまなイベントが起こるというものだ。ただし、よくある育成シミュレーションなどと違い、エサをあげないと死んでしまうといったことはない。

 ペットの種類は、テディベア、ネコ、カメ、ウサギの4種類。どれもとても可愛いデザインのペットだ。そのペットは、飼い主とともに成長していくオリジナルのペット。同じく「ポストペット」を使用している友達宛てにメールを書いたら、ペットにメールを渡して送信してもらおう。ペットが、「部屋」の中にある郵便ポストから手紙を受け取り、部屋を出ていくアニメーションが見られる。これは、まさにペットが「配達してくれる」といった雰囲気だ。ペットはメールを配達(送信)するのが仕事で、ペットにとっても大きな楽しみなのだ。

 さて、このペットたちは、配達先でのできごとを飼い主にメールで教えてくれたり、何もなくても時々飼い主にメールで話しかけてくることがある。辛いことがあったときには、配達先に愚痴をこぼすメールを出しちゃったりもする。また、ペットは最初から配達に馴れているわけではないので、途中で寄り道したり、「宝物」を拾ってくることもある。

 そんな「ポストペット」には、1日1回は必ずメールボックスをチェックしたくなるような楽しさがある。もちろん、必要最低限のメーラーとしての機能はあるので、単に遊びたい人だけでなく、初めてメールソフトを使う人などにも向いている。ただし、ビジネス用のソフトではないので、メールの振り分け機能などはなく、たくさんのメールを処理する人には向かない。また、他のメールソフトとの併用は、トラブルのもとになるので、やめたほうがいいだろう。

 しかし、可愛いペットが訪ねてきたり、自分のペットがメールを友達のもとに運ぶ様子を見たら、きっとファンになること請け合いだ!

-ダウンロードをしてみよう!

 現在、Windows版とMacintosh版とも、お試し版と正式版がWWW上に公開されている。お試し版は誰でもダウンロードできるが、正式版はポストペットパークの会員(詳細は後半「ポストペットパークとはどんなところ?」を参照)にならないとダウンロードできない。

-お試し版と正式版の違い

 さて、現在公開されているMacintosh版のお試し版(Ver1.02)は、ペットが選べないこと、部屋の模様替えができないないなど、使える機能が限定されている。また、30日を過ぎると、メールそのものは受送信できるが、ペットはいなくなってしまう。一方でWindows版のお試し版(ver 1.04)は、公開が遅れたなどの理由から機能の限定はなく、ほぼ正式版と同じ。ただし、30日を過ぎるとペットがいなくなってしまうところはMacintosh版と同様だ。

 まずはお試し版で試してみて、気に入ったら正式版にバージョンアップするのがよいだろう。アップデートファイルをダウンロードしてバージョンアップすれば、育てたペットは継続して飼うことができる。

 なお、Windows版とMacintosh版は、機能的にはほぼ違いないものの、現状はペットの動きがちょっと違うという。Macintosh版は少々動きが緩慢。あまり動きがみられない。逆に、Windows版は動きが活発で、おなかもすぐ減ってくる。次の「ポストペットVer 1.1」では、完全に揃う予定とのことだ。なお、ポストペットVer 1.1は、「ポストペットデラックス」として11月下旬に、Windows版、Macintosh版ともリリースされる予定。パッケージ販売のみとなる。ただし、お試し版はホームページにも公開される予定で、このバージョンからMacintosh版も製品版と機能の制限はなくすという。ただし、30日を過ぎるとペットがいなくなるのは同じだ。

-ポストペットの設定

 ポストペットをダウンロードしたら、インストーラーの指示に従うと、ほとんど何も設定することなく、セットアップは終了する。最初の立ち上げ時に、メールアドレスの設定などを行なうと同時に、ここでペットの種類や、ペットの名前などを決める(どんなペットが飼えるかは、次の章を参照)。なお、一度決めてしまったら、ペットの変更などはできないので注意しよう。

●ポストペットってこんなソフト!



 次に、ペットの種類や性質、またしつけといったペットの飼い方のほか、やっぱり気になるペットの恋愛や、複数のペットの飼い方などを紹介しよう。

-どんなペットが飼えるの?

・テディベア(人間でいうと3~12歳ぐらい?)/初心者向け
 ぬいぐるみのクマ。カメについで長生き。言葉遣いやしぐさが幼稚で愛らしい感じ。言葉にしたいけど、うまく言葉にできずに「…」と戸惑っている様子がたまにうかがえて、親ばか度が増しそう。

・雑種ネコ(人間でいうと8~18歳ぐらい?)/ 上級者向け
 気まぐれで比較的家出しやすい。言葉遣いが偉そうだけれど、よくメールを書いてくれる。ペットからのメールがたくさん欲しい人にはおすすめ!でも、フイといなくなるような雰囲気があり、飼い主のほうが媚びてしまいそうになるかも。

・オカガメ(人間でいうと20~92歳ぐらい?)/おとなの心を持った寛大な人向け
 4種類のペットのなかではいちばん長生きで、難解な言葉遣いをするカメ。味のあるタイプで、「あんた何年生きてるの?!」といった雰囲気をかもし出すが、そこがまたおちゃめ。また、カメのダンスは激しいという噂あり。

・ミニウサギ(人間でいうと6~14歳ぐらい?)/中級者向け
 ちょっとさみしがりや。あまり賢くはないようで、まぬけな発言が多いかも。つい、「私が相手してあげなきゃ」といった気持ちになってしまう。かまって欲しがっているよう。

-ペットの育て方

 ペットはメールを配達することが仕事。無事に仕事をこなすとご機嫌になり、幸福度が上がる。メールを書いたらペットにメールを渡し、運んでもらうことが、上手く育てる秘訣のようだ。ペットの体調やご機嫌度などは、メニューから「ペットの状態」を選ぶと確認できる。

 マウスカーソルをペットの上に持っていくと手の形に変わるので、たまにはなでてあげて、ペットとコミュニケーションしよう。ただし、このときペットの上でクリックしてしまうと、ペットを叩いたことになり、青筋を立てて怒る。なんども叩くと、ペットが痛そうに伏せてしまうので要注意。とはいえ、もちろんしつけも必要。同じ場所にいて離れなくなったときなどに叩くと、わずかながらもペットが学習する。

 また、配達を続けていると、ペットの体が汚れてくる。もし汚れてきたら洗ってあげよう。とはいっても、洗われるのが好きなペットと嫌いなペットがいるらしい。

 なお、ペットは、一度に一通のメールしか運べない。ペットがでかけているときや、ポストペット以外のメールソフトを使っている人に出すとき、また同報メール(CC:)や添付ファイルを送るときは、普通メールモードの「ポストマン」を使って送信しよう。

-「おやつ」をあげよう!

 ペットも配達をしたり、時間が経過するとお腹がすいてくる。そんな時は、「おやつ」をあげよう。種類はせんべい、キャンディ、バッタ、宇宙食などがあり、ペットがおやつがあることに気がつくと、パクついてくれる。ペットにも好き嫌いがあるようで、嫌いなおやつだった場合は「イヤイヤ」をしたりする。そんな様子を見るのも、また楽しい。もちろん、訪ねてきたペットがお腹をすかせていた場合も、おやつを置いておくとパクついてくれる。そんなシーンをみていると、ちょっとほのぼのとした気分になってくる。ちなみに、おやつをあげなかったからといって、死んでしまうことはない。

 なお、「ポストペットパーク」では、栗など季節に合ったおやつなども用意されており、会員になっているとダウンロードできる。このほかに、先日幕張メッセで行なわれたPC World Expoで限定販売された吟醸幕張、パイレーツガム、コンパニキッス…など謎なおやつセットもあり、ファンの間でも人気が高い。

-ひみつ日記ってなに?

 ペットの配達先で起こったできごとを記したメールで、ポストペットの大きな楽しみのひとつ。ペットが配達をして戻ってくると、飼い主宛に「ひみつ日記」が届く。配達先のペットと遊んだことや、なでられたりなぐられたりしたことなどが書かれており、たまに、「なんだこりゃ!」と思わせるお馬鹿なことも書くので、毎回どんなことを書いてくるのか楽しみだ。

-ペットが戻ってこない!ポストペットユーザー以外にペットメールを出した場合

 他のメールソフトでペットメールを受け取ると、ペットのデータを吸い取ってしまうことになるため、残念ながらペットは戻ってこない。とはいっても、ペットが死んでしまうわけではない。半日ぐらいしてから、再度メールをチェックしてみよう。アプリケーション側で出発前のデータを保持しているため、送信前の状態でペットが復活する。その場合は、ペットの幸福度なども送信前の状態のままだ。

 また、相手が「ポストペット」を使っている人に送った場合でも、相手がメールを読んでくれない場合は、しばらくペットが戻ってこない。意外とよくあるパターンだ。この場合は、別のソフトで受け取った場合と違い、数時間~十数時間経つとペットが戻ってくる。ただし、メールの内容はちゃんと届けてくれる(置いてくる)。

-ペット同士の恋愛もある?!

 同種類のオスとメスで頻繁にメールのやりとりをしていると、恋愛状態に陥るという。ただし、その条件があったから必ずしもそうなるわけではなく、ペット同士の相性なども関係してくる。また、ペットが誕生してからある程度の日数が経過して、大人になっていないと無理らしい。

-寿命と死後の世界

 ペットの寿命は、メールの配達数によって決まっており、ある一定数のメールを配達し終えると、寿命がおとずれるという。死んでしまったペットの行方は謎。ペットによっては、ただいなくなって終わり、というわけではないらしい。
 ペットにメールの配達をさせると、ペットの幸福度が上がることによって配達可能なメールの数が増え、結果的にペットの寿命は延びることになる。よって、ペットの寿命は飼い主次第とも言えそうだ。なお、ペットの配達可能なメールの数は、個体差や、種別による違いもあるので一概にはいえないが、おおむね8~24カ月という。一般にはカメが一番長寿で、テディベア、ウサギ、ネコの順と言われている。
 ただし、途中でペットの幸福度が下がりすぎると家出し、寿命が来る前にいなくってしまうことも!それが本気の家出であれば、もう二度とペットが戻ってくることはないので、飼い方にも注意が必要だ。なお、完全な家出ではなく、ふらふらと一時的にいなくなることもある。本気の場合は、ペットから飼い主宛にメール(置き手紙)が届くようになっており、本気かどうかは、そこで区別できる。

-複数のペットを同時に飼うには?

 基本的には、「1アカウント1ペット1パソコンでの動作」となっているが、メールアカウントを2つ以上持っていれば、複数のペットを同時に飼うこともできる。ソフトを別々のフォルダ(ディレクトリ)にインストールし、フォルダごとに違ったペットを飼えばよい。この場合、Windows版でもMacintosh版でも、一度インストールが完了したポストペットのフォルダ全体をコピーし、名前を変え、フォルダ内にあるプリファレンスファイル「PostPet設定」(Windows版の場合は、「PostPet設定.ppc」)を捨てた後、再度起動すると新しいペットを誕生させることができる(もちろん、違うフォルダにインストーラーからインストールし直してもOK)。ペットは、「PostPet設定」(PostPet設定.ppc)によって管理されているので、容量がない人はそのファイルを入れ変えるのも一つの手だろう。

 また、Macintosh版のみ、メモリに余裕がある場合は、複数のポストペットを同時に起動させることもできる。もちろん、その場合はソフト本体自体も複数インストールされている必要がある。

-ペットのお引越し

 もし、飼っているペットを違うパソコンに引越しさせたい場合は、MOなど大容量のメディアが利用できる場合は、ポストペットのフォルダ(ディレクトリ)ごと、すべてをコピーすると移動することができる。そういう環境が整っていないという人でも、以下のファイルまたはフォルダをフロッピーディスクなどにコピーすれば移動することができる。この場合、移動先でアプリケーション自体はセットアップされていなければならない。すでにセットアップされているところに、フロッピーディスクなどで持ってきたものを上書きする。

PostPet設定(Windows版の場合、PostPet設定.ppc)
       ---プリファレンスファイル。PostPetの設定そのものすべて
お友達帳----遊びに来たペットのメールアドレス帳。訪問回数なども記録
受信フォルダ---受信したメールの一覧とメールのすべて
送信フォルダ---送信したメールの一覧とメールのすべて
プラグインフォルダ(tzl001.pac)---宝物

-ポストペットマニアの楽しみ方

 何度も配達に出していると、ペットの体が汚れてきてパラメータの「かっこよさ」が下がり、ペットの周りにほこりがついてくる。最も汚れている状態の「スーパーハード」で、満腹状態で配達に出すと、配達先で粗相をするらしく、これを見たさに、洗わずに配達を続けて、「スーパーハード」を目指す事が一部流行っているようだ。その汚物の種類も、ペットの種類によって違うらしい。

 また、友人どうしで、お互いの名前をペットにつけあっている人もいる。ポストペットを起動すると、「××の部屋」とペットの名前が表示される。パソコンに友達の名前の部屋ができてしまうのだから、友達と一緒にいるようでちょっと楽しい。

●ポストペットとその仲間たち

 ポストペットを使うには、ポストペットユーザーの友達がいなければ始まらない!また、ペットについて語り合う仲間がいればさらに楽しいもの。オフィシャルのポストペットホームページでの掲示板や、ファンのページを見ればバッチリだ。また、ポストペットユーザーの友達がいない場合には、ペットメールをjunko2@impress.co.jpまでどうぞ!

-「ポストペットパーク」とはどんなところ?

 ポストペットのホームページ(http://www.so-net.or.jp/postpet/ )には、会員だけが見られる「ポストペットパーク」がある。料金は、300円/月。会員には専用のIDとパスワードが発行され、それを使ってアクセスする。パークの会員は、現在2万2千人という。
 「ポストペット」は自動的にペットを相手のところに送り出す機能を持っており、その機能を使って、ペットの遠足や海水浴といった四季折々のイベントなどが開催されている。10月下旬には、運動会や試験が予定されており、指定されたアドレスにメールを送ると、2~3週間後に「あなたのペットがこういうことをしていました」という内容がホームページ上でレポートされる。
 ソフト単体でも楽しめるが、WWWと連動しているため、テーマパークの会員になるとさらに楽しめるしくみだ。イベントだけでなく、「おやつ」をダウンロードできたり、サポート掲示板なども見られる。

-ペットが帰ってこないetc.トラブルが発生したら?

 ポストペットパーク会員であれば、パーク内にある「ペット病院」で、相談することができる。会員でない場合は、誰でも見られる「初心者の館」などを読んだりしよう。なお、キャンディストアでは、おやつがダウンロードできる。新しいおやつが入荷されたら、ペットのためにもさっそく行ってみよう!

-ポストペット関連のホームページ

 ポストペット関連のホームページはかなりの数にのぼる。そこで、リンク集の充実したページや、メーリングリストのページにしぼってご紹介する。

・PostPet-ML
http://www.rccn.com/kanko/postpet/ml/
1日のメールの量は、50通~70通程度。内容は、ペットからのメールの内容やペットの近状など。なお、ペットでの投稿や添付ファイルは禁止されているので要注意。

・ポストペットキッズ
http://www.urban.or.jp/home/jun/postpet/index.html
小学生の男の子が作っている、「まつだじゅんのホームページ」の中のポストペット情報ページ。リンク集はかなり充実。

・ポストペット普及委員会
http://ryoko.njk-tech.co.jp/~miyamoto/postpet/index.html
ポストペットの同好会ページ。メーリングリストや、WWW上のチャットコーナー、ボードなどもある。

・ポストペットにはまっているの
http://www.geocities.com/Tokyo/Ginza/9860/index.html
リンク集が充実しているほか、ペットを5匹飼うための方法や技などを紹介している。
無料アドレス取得の方法などもあり、一見の価値あり。掲示板もある。

・Marimo's Home
http://www.tky.threewebnet.or.jp/~marmo/
かわいらしくまとまっているページ。リンク集には数行のコメントがついているので便利だ。

・CHAKU
http://www.dtinet.or.jp/~atsuki/postpetmenu.html
ポストペットのチャットページやユーティリティなど、テーマごとにわけたリンク集が充実。

・ぽすとぺっとふぁんる~む
http://www.propel.or.jp/~satomi-y/postpet.html
ポストペットユーザーのリストページや、伝言板ページ、ポストペットに関する情報、ポストペット関連ページのリンク集などがある。

●ポストペット開発者にインタビュー!!

 操作が簡単なわりに意外と奥が深く、謎も多い「ポストペット」。パラメーターなどの秘密や、新しいペットの登場予定などを中心に、ディレクターの八谷和彦さん、デザイナーの真鍋奈見江さん、プログラマーの幸喜俊さんらに、お話をうかがった。

IW編:よく聞かれると思うのですが、そもそも「ポストペット」を作ろうと思ったきっかけを教えてください。
幸喜:八谷さんと真鍋さんがいたニフティサーブのパティオで、八谷さんが話した「夢の話」がきっかけなんです。それは夢の話にしておくにはもったいないというんで、実際にちゃんとしたソフトにしようと始まったものです。
八谷:そう、テディベアがメールを運ぶという夢でした。もともと、夢をみた前後に動物と人間の共生関係のようなことを考えていて、伝書鳩とか、自分の代理人がメールを届ける、そういうような感じのエージェントがいいなぁと思っていたんですよ。

IW編:他にポストペットのようなソフトってないですよね。

八谷:そうですね、出てくるかと思っていたんですけど。その中で、ボトルメール( http://www.kids.recruit.co.jp/bmail/ )は感覚的には近いですね。最初、ポストペットのアイディアの中に「誤配」があったんですよ。ペットに渡すと、低い確率だけれど間違った人に配達しちゃう、というような。でも、プロバイダーが出すもので誤配があったらまずいんじゃないかということで、やめたんです。ところが、ボトルメールは誤配しかない。そこをちゃんとやったところがすごいと思います。ユーザーもちゃんと受けて入れてくれるんだなぁと。いつか、一緒に世界を作れたらいいなぁと思ってます。ポストペットパークの沼と、海をつなげるとかね。まだ何も(リクルート側には)お話していませんけど(笑)


IW編:4つの動物のキャラクターに決定した経緯を教えてください。

真鍋:テディベアは八谷くんが、テディベアがメールを運ぶ夢を見た、ということで、これは顔なんです。ネコはうちで飼っているから入れて、ウサギは可愛いものをもうひとつということで、入れました。小憎らしいのを2つと、可愛いのを2つ、という構成にしようと思ったんです。
 よく、なんで犬がいないんですか?って言われるんですけど、犬はFetchとか、Cyberdogとか、すでにインターネット界で活躍していましたから。それに、ちょっと賢こそうじゃないですか(笑)
幸喜:忠実にお使いをしてくれそうで、メールの誤配なんかしない雰囲気がある(笑)
真鍋:でも、すごく犬好きの人が多いのには、驚きました。作ったあとで色々と言われて(笑)


IW編:どのペットも、リアクションがとても可愛いですね。人の家で寝ちゃった
   りとか…。

真鍋:ペットは召使いとか、そういう立場じゃないんですよ。パソコンの中に住んでいるけど、人間と対等なんです。メールの中で人のことを呼び捨てにしますよね。きっとナメてるんですよ、寝てるとメールも運んでくれませんし(笑)


IW編:ペットのパラメータについて、教えていただけますか?

幸喜:…秘密です。まぁ、インストール時に出てくるとおり、体調、機嫌、容姿、頭脳の4つが主要です。でも、ほかにも細かくあるんですよ。


IW編:ゲテモノのおやつなどをあげると、ペットがものすごく嫌がるんですけ
   ど、あげるおやつによってパラメータは変わりますか?

真鍋:何をあげたからどうなるというのはないんです。逆に、パラメータによって好むおやつが違います。ペットには嗜好があって、高級品が好きな子もいるし、高級品が嫌いな子もいます。最初は、子供向けのおやつがみんな好きなんですけど、それは成長にしていくにしたがって変わってきます。


IW編:「ひみつ日記」はどういうふうになっているんですか?

幸喜:出かける先で書いてくるもので、Macintosh版とWindows版のペットのところに行った場合によって、内容は多少違います。また、ペットから飼い主にメールをくれることがありますが、基本的に、ペットが幸せでないと出してくれません。


IW編:逆に、飼い主がペットにメールを出すとなにか起こるんですか?

真鍋:気持ちの問題ですね。将来的には考えているんですけど、今度出すパッケージ版ではないです。


IW編:ペットが恋愛状態に陥ることがあるらしいですが、結婚しちゃったり
   することはありますか?

真鍋:どのくらいの割合でラブレターを出すのかとか、そういうことはまったく分かりません。ただし、結婚はないです。恋愛状態に陥るには、かなりの数を出さないとならないので、何カ月後にいつのまにかそうなっている、という感じだと思います。
幸喜:毎日1通づつ使って何か起きるような、スパンの長い使い方を想定しているので、使い始めて1~2週間で何か大きなことが起きるとか、そういうことはないです。自分宛に送ってもなにもならないですしね。
真鍋:ゲームのように攻略するのではなくて、毎日楽しんでほしいなと…。


IW編:洋服のプラグインや、アクセサリーなどは考えていますか?

真鍋:今でもメールソフトで10MB近くもあるので、そういう新しいものを入れるとさらに増えて20MBとかになっちゃうんです。なので、ちょっと無理ですね。それだけの容量があるなら別のペットを入れたりするほうが喜ばれるんじゃないかな。
幸喜:自分のペットに、アクセサリーとか服とかをつけたとして、それが相手のところにもないと、現状のシステムでは見られないわけですよ。その場合、アップデートをみなさんにどう浸透させていくかといった問題があるのと、なるべく多くの人に使って貰いたいという意向があったので、非力なマシンでも動くように作っているんです。ハードディスクの空き容量とか、メモリとかそのあたりの問題もあって。


IW編:次のバージョンは考えていますか?

幸喜:将来的には、根本的に変えて、3Dでやっちゃいたいなと。ただし同じことを68KのMacintoshでもできるかというと、問題がある。
真鍋:誰もが高速なマシンを持つようになってきたら、という感じですね。


IW編:では身近なところで、新種のペットの予定はどうでしょう?

真鍋:いつになるでしょうね(笑) 近々の予定はないです。デラックス版がもしたくさん売れたら、次を作る開発費になるんで、それからかな(笑)
 でも、進化の形はペットが増えるとかではなくて、ホームページと連動して新しい遊びができる…。たとえばアクセスすると、ペットのフィーリングカップルをやっているとか。アプリケーションソフト単体ではなくて、総合的に組み合わせて楽しめるようなしくみにしたいと思っているんです。


IW編:ポストペットパークでのイベントの予定は?

真鍋:秋の行事ということで、10月下旬にポストペットパーク内で運動会もしくは試験を予定しています。ペットの状態によって、どちらか好きなほうに参加できるというものです。


IW編:仕様を公開して、カスタマイズ可能にすることは考えていますか?
幸喜:それは、カスタムの部屋とかおやつとかを作るツールは出すか、ということですよね。現在は開発者専用で、まったくユーザーフレンドリーじゃないんです。まだ、アプリケーションが落ちついていないんで、仕様を公開する段階でもありません。落ちついてからですかね。誰でも使いやすいツールを提供するほうが、ユーザーにとってもいいのではないかと考えています。

IW編:どうもありがとうございました。

参照URL

・Works of Hachiya Kazuhiko/八谷さんのページ
http://www02.so-net.or.jp/~mega/works/

・週刊ナミ通/真鍋さんのページ
http://www02.so-net.or.jp/~manabe/


('97/10/13)

[Reported by kanko@nwj.com / junko@impress.co.jp / Watchers]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当 internet-watch-info@impress.co.jp