NTTが今月20日に郵政省に認可申請した市内通話割引サービス「タイムプラス」(本誌1月21日号参照)。郵政省はこれを認め、23日に電気通信審議会電気通信事業部に諮問したが、「全国同時に実施すべき」とクレームが付き、2月4日に再度審議されることになった。そして28日、公正取引委員会もまた、この一件に興味を示している。
タイムプラスは、月200円を支払えば、市内通話が昼間・夜間なら5分10円、深夜・早朝なら7分10円になるというもので、首都圏限定でスタートする。今年1月より首都圏で3分9円の市内通話サービスを開始した、東京通信ネットワーク株式会社(TTNet)の「東京電話」対抗のサービスと目されている。
問題はこの首都圏限定というところで、公正取引委員会の矢部丈太郎事務総長は「競争者と対抗する地域だけ安くするのは競争政策上好ましくない。割引するなら全体で実施するのが妥当だ」と語る。独占禁止法では、取引の地域や相手によって不当に差別的価格を設定することが禁止されている。
ただし、今回のケースについては、「新規参入の妨げになれば問題だが、一方で競争は価格を引き下げる効果を持っている」と述べた上で、法律上問題になるかどうかについては「直ちに判断するのは極めて難しい」との見方も示した。また、あくまで監督官庁の郵政省が判断する問題とする一方で、意見を求められれば見解を伝える用意があることも明らかにした。
なお、NTTの電話料金は、現在認可制となっているが、8月には原則届け出制に移行する。これについて事務総長は、「届け出制になれば、公正取引委員会が前面に出ることも考えられる」と興味深い発言をしている。
('98/1/28)
[Reported by yuno@impress.co.jp]