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【サービス】

テレビ朝日のデータ放送ADAMSが全国展開へ
テレビ向け、モバイル向けサービスも年内に

■URL
http://www.tv-asahidata.com/

 テレビ朝日が提供しているデータ放送「ADAMS(TV-Asahi Data and Multimedia Service)」の全国ネットが4月に完成する。すでにサービスを提供している11局に加え、4月1日に朝日放送など12局、4月中旬に琉球朝日放送がサービスを開始。ANN系列24局すべての放送地域がカバーされることになる。

 ADAMSは、地上波テレビ電波のすき間を利用してデータを配信する多重放送サービス。テレビ朝日、NTTなどが開発したDATAWAVEという技術を用い、HTML形式のコンテンツを配信する。パソコン向けの「ADAMS-P」、テレビ向けの「ADAMS-T」、モバイル端末向けの「ADAMS-M」、カーナビ向けの「ADAMS-N」がある。

 パソコン向けのADAMS-Pは、'97年6月にテレビ朝日で放送を開始。ニュースや天気予報、テレビ番組と連動したコンテンツ、生活情報などをプッシュ配信している。専用の受信ボードを搭載したパソコンでデータを受信し、一般のWWWブラウザーで閲覧する。インターネットプロバイダーとの接続も不要で、電波が届く場所であれば、テレビと同様に手軽に見ることができる。視聴料も無料だ。対応製品が松下電器産業やNECなどから発売されているが、出荷台数は放送開始後10か月で2~3万台止まり。サービス地域が限られていたことが、普及の妨げにもなっていた。

 テレビ朝日データの藤本一夫取締役は「今年をADAMSの普及の年にする」としており、全国ネットの完成を機に、6月にはADAMS-Tの実験放送を、年内にはADAMS-MとADAMS-Nを開始する。対応する製品も各メーカーが開発中で、ADAMS-Tでは、Network Computer, Inc.(NCI)のインターネットテレビ用セットトップボックス「NC TV」にADAMSの受信機能を内蔵した製品が6~7月に発売される予定。ICカードスロットを搭載した製品も開発中で、ADAMSを利用した課金機能も提供できるとしている。日立製作所もADAMS対応のインターネットテレビを開発中だ。ADAMS-Mでは、NTTが受信用ICを開発中。PDAやノートパソコンで移動しながら放送を受信できる環境を提供する。さらに従来からのADAMS-Pにおいても、視覚障害者向けの番組を提供する。番組を音声または点字で出力できる製品を三菱電機が開発中、近く発売される。

 これら各サービスのコンテンツについては、基本的に現在と同リソースのものとするが、表示などが各端末向けにカスタマイズされる。また、現在のコンテンツに加え、EPG(電子番組表)の配信も計画しているほか、コンテンツプロバイダーとの提携により番組の充実化を図る。各ローカル局が独自に制作したコンテンツの登場も期待される。

 さらに藤本取締役は「今後はデータ放送受信機能がパソコンに標準搭載される。Windows 98では、ADAMSのアイコンが登録されているというような形で(ADAMSがWindows 98に)統合されるものと見ている」と述べている。また「テレビの出荷台数は年間1,000万台、普及台数は4,500万台と推定されており、データ放送対応のテレビが登場すれば、パソコンとは比較にならないほどの媒体規模になる」としている。

 現在、パソコン向けのデータ放送では、ADAMSのほか、TBSなどがBitcast方式によるサービスを提供中。両方見るには、それぞれ対応する製品が必要となる。このように別規格のサービスが併存することについては「ハード面ではまったく同じものを利用しており、アプリケーション面だけの相違。現在(Bitcast陣営と)話し合いを設けており、ゆくゆくは統合していきたい」と述べている。

('98/3/23)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp