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【N+I 98 Tokyoレポート】

「インターネットが社会のすべてを変える」

米Cisco Systems社John T. Chambers氏基調講演

■URL
http://www.sbforums.co.jp/interop.htm (N+I 98 Tokyo)

John T. Chambers

 4日の基調講演は、米Cisco Systems社代表取締役社長兼CEOのJohn T. Chambers氏。「これからのインターネット~未来への挑戦」と題して、インターネットが社会にもたらした変化と今後の展望について語った。

 Chambers氏はまず「インターネットによってもたらされた社会の変化、すなわち生活の変化、ビジネスの変化、ニュースの入手方法の変化、学習方法の変化などは、まさに革命的な出来事であり、産業革命に匹敵するものである」と述べ、「インターネットは、(産業革命のときと同様に)持つ者と持たざる者を分ける重要な要素である」と指摘した。

 しかし、現代の「革命」は「産業革命のように数百年かかってゆるやかに浸透するものではなく、20~30年で世界に広がった」とし、インターネットのもたらした社会の変化がいかに急速だったかを説明した。また、この「革命」を促した要素として、テクノロジーの進歩と、ビジネス上の理由の二つが挙げられるとし、とくに後者が大きな理由だったと指摘した。現在では、ビジネス分野におけるインターネットの利用は、生産性の向上だけでなく国の成長をも促すものと考えられているという。

 続いてステージ上では、この「革命」が実際にどういった側面に現われているのかを説明するデモンストレーションが行なわれた。まず最初のデモは、固定電話、携帯電話、インターネット電話のそれぞれで通話し、来場者にどれがインターネット電話によるものかを当ててもらうというもの。米国での通話料金は、それぞれ1分あたり、携帯電話が45セント、固定電話が10セント、インターネット電話が5セントということだが、音を聞くだけではインターネット電話はほとんど他のシステムと区別できなかった。低料金が特徴のインターネット電話だが、技術の進歩を印象づけ、音声通信とデータ通信の統合を感じさせるものとなった。

 続くデモでは、医療への導入例が紹介された。胎児をスキャンした画像を「Web Pro」という技術によりインターネットを介して閲覧できるようにしたシステムで、これにより遠隔地の患者を診療したり、違う病院の医師同士で互いに患者の情報を共有できるようになる。現在1.5~3%にとどまっているネットワークへの投資を7~12%に引き上げることで、医療コストを削減できるだけでなく、医療の質そのものも向上させることができるという。

 最後にChambers氏は、これから数年間にかけて起こるであろうネットワークの進歩について予想した。まず、現在は別々に提供されている音声・映像・データのネットワークが統合されるという。これにより、キャリアの競争・淘汰が起こり、音声サービスは無料で提供されるものとなる。最終的には世界で数社のキャリアが残り、いずれはネットワークがすべて統合される。氏は「70%の確率で、この予想通りになるだろう」と締めくくった。


('98/6/4)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp