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http://www.sbforums.co.jp/interop.htm (N+I 98 Tokyo)
最終日となる6月5日には、米Bay Networks社会長、CEO兼代表取締役社長のDave House氏による基調講演が行なわれた。「Beyond the Holodeck」と題されたこの講演では、「Holodeck(ホロデック)」という単語をキーワードに、インターネットの発展がもたらす社会の変化について語られた。
ホロデックとは、テレビ番組「スター・トレック」に登場する、バーチャルリアリティを発生させる装置で、そこにはない世界を人間に体験させるというものだ。House氏は「インターネットは、ネットワーク化されたホロデック」であり、「我々の生活を、空間的・時間的な制約から解放するもの」であると述べた。例えば現在、大学で何かを学びたい場合、実際にその大学に通い、講義に出席するのが普通だ。また、誰もが入学できるというわけではない。一方、インターネットがホロデックの役割を果たすことで、我々はこの空間的・時間的制約から解き放たれ、どこにいても、いつでも、誰でも大学に「通う」ことができるようになる。さらには、一つの大学で学ぶ必要もなくなり、「ある講義は東京大学で、またある講義はマサチューセッツ工科大学で-というように、その分野の最高のものを組み合わせた、今までにはない形の教育も可能になる」。
インターネットだけでなく、従来の電話やテレビもホロデック的な体験を提供するものと言えるが、現在、音声は電話、映像はテレビ、データはパケット通信やインターネットと、別々のネットワークで提供されている。しかし、これらは「最終的にはインターネットという一つのネットワークに集束」し、「インターネットプロトコルは、共通言語や共通通貨のようなものになる」という。その結果、「我々は世界中を電子的に移動できる」ようになるとし、仕事や勉強、遊びまで、生活のすべてを変えるインターネットは、まさに「未来のホロデックである」と締めくくった。
('98/6/5)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]