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【イベントレポート】

「ケーブルテレビ'98」レポート
CATVインターネットも多数展示

■URL
http://www.catv.or.jp/

 ケーブルテレビ(CATV)の総合展示会「ケーブルテレビ'98」が10日、東京・池袋サンシャインシティで開幕した。最近は、単なる放送メディアとしてだけでなく、ネットワークのインフラとしても注目を集めているだけに、インターネット関連の展示も多く見うけられた。今回は、その中から特に注目される展示を紹介する。
 展示会は12日まで開催。あわせてシンポジウムなども行なわれる。


■CATV版WebTVとも言えるWorldGate
http://www.gi.com/ (General Instrument)
http://www.wgate.com/ (WorldGate Communications)

 ゼネラル・インスツルメント・ジャパンのブースでは、米General Instrument社のセットトップボックス「CFT 2200」を展示していた。米WorldGate Communications社の開発した「WorldGate」というシステムに対応しており、番組の受信のほか、CATV網を利用したインターネット接続が可能だ。インターネットの利用にはオリジナルのメニュー画面が用意されており、テレビでの表示に最適なように作成されている。操作もすべてリモコン(または専用のキーボード)で行なえる。いわば「CATV版WebTV」とも言えるもので、操作感覚もほとんど同じだった。

 ただし、データ伝送レートが下りで128kbpsと、アナログ電話回線を利用したWebTVよりも速くなる。さらに、後継機の「DCT-1000/1200」ではデジタル網に対応し、MPEG2コンテンツのダウンロードで最大27Mbpsの伝送レートを実現するという。

 また、「Channel HyperLinking」という機能により、番組とインターネットコンテンツとの連携が図られているのも特徴だ。これは、例えば放送でCMが流れている時に専用のボタンを押すだけで、即座にそのCMに関連したホームページを表示するというもの。放送内容と関連ホームページのリンクは、WorldGateのデータベースで管理しているということだ。

 米国では、セントルイスの通信会社Charter Communications社が、WorldGateを利用したサービスを4月に開始している。国内では、今回が初めての公開となり、今後CATV事業者などに向けて販売していくとしている。

 なお、WorldGate対応の端末はGeneral Instrument以外にも数社から発売される。伊藤忠ケーブルシステムのブースでも、WorldGate対応のセットトップボックス(写真)を展示していたが、こちらも国内での導入予定はまだないということだ。


■ケーブルモデムではMCNS準拠製品も登場
 CATVでインターネットを利用する際に必要となるケーブルモデムでは、先ごろNECが、国際標準となるMCNS(Multimedia Cable Network System:米国のCATV標準化団体)仕様に準拠した「MODECAT」を発表(本誌6月7日号参照)、この展示会にも出展していた。一方、富士通と東芝もMCNS準拠の製品を参考出展していたが、東芝では、MCNSの承認が得られるのは秋以降になるとしており、富士通も出荷はまだ未定とのことだ。

 このほか、NTT、日立電線、古河電工、伊藤忠ケーブルシステムなどが、Com21社のケーブルモデムシステム(写真)を利用したソリューションを紹介していた。CATV加入者のインターネット接続だけでなく、企業や自治体などのLAN構築にもCATVを利用することで、広域でのイントラネット利用が可能になるという。


■CATVインターネット専用コンテンツを作成するweb plus
http://www.xbeam.co.jp/

 CATVインターネットでは、単にインターネット接続サービスを提供するというだけでなく、局ごとに地域に密着したオリジナルコンテンツを用意することも必要となっている。しかし実際は、各局が独自でインターネットコンテンツを用意することは難しい。クロスビームネットワークスが紹介していた「web plus」は、CATV局向けにインターネット専用のコンテンツを作成するサービス。web plusでは、サイト紹介のほか、ショッピングや映画の情報など地域に密着した情報を中心にコンテンツを作成する。CATVインターネットの高速性を生かし、映画予告などのムービーなども用意していくという。すでに、東京の立川マイテレビが、web plusによるコンテンツを6月から提供しているとのことだ。

 また、パソコン向けだけではなく、NCTVを利用したシステムも紹介していた(写真)。オラクルのNCTVをケーブルモデムに接続することで、CATVを見ながらインターネットを見ることができる。将来は、番組紹介や番組と連動したコンテンツも提供していきたいとしている。このシステムに使用していたTerayon社のケーブルモデムは、比較的ノイズに強いため、国内で普及している同軸ケーブル網でも帯域を広く取れるのが特徴だという。


■CATVインターネットでも従量制課金
http://www.cynet.co.jp/

 サイバー・ネット・コミュニケーションズのブースでは、「BillingGate」というCATV局向けの従量制課金システムを紹介していた。これは、インターネットに接続しているだけでは課金されず、ページの読み込みや送信要求など、パケットのやりとりが行なわれた時間に応じて課金するというシステム。したがって、ホームページやメールをいったん読み込んでしまえば、それを閲覧している間は料金が発生しない。CATVインターネットでは常時接続が可能なため、料金は固定制というのが一般的だが、すでにいくつかのCATV事業者がBillingGateを採用しているという。常時接続できるとはいえ、データのダウンロードを頻繁に行なうユーザー以外は、料金設定次第ではお得なサービスになると言えるだろう(料金設定は、CATV事業者により異なる)。

('98/6/10)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp