電子マネーや電子決済の普及に向けた環境整備の在り方を検討してきた大蔵省の懇談会は17日、電子マネーの発行業者に金融機関以外の参入を認めることなどを盛り込んだ報告書をまとめ公表した。
大蔵省は法務省、通産省など関係省庁と調整の上、電子マネーの発行や取引ルールを幅広く定めた「電子マネー法案(仮称)」を早ければ次期通常国会に提出する方向で準備を進める方針だ。
電子マネーの発行主体について報告書は、情報通信技術の発達を背景にした新しいサービスであることに着目し、「金融機関以外の主体も幅広く参入できる制度整備を行なうべきだ」と主張。一定の財政基盤や技術水準を満たした企業には登録制など緩やかな形で参入を認める方向性を示した。
一方、利用者保護の面からは、電子マネーの発行会社が経営破たんした際にも事前に預けた資金の安全性を確保するため、信用性の高い別の企業などによる保証や信託などの手法を使うことを義務づけるよう求めた。
また、発行企業のほか通信業者、コンピュータソフト会社など、電子マネーのシステムには関与する業者が多いことから、利用者に対する事故時の対応窓口を一本化するべきだとした。
ただ、電子マネーカードの紛失など利用者側の責任で損失が出た場合でも、利用者が一定額以上の負担を負わない仕組みになっている米国や英国型の保護策については、「サービス提供者の自主的な努力を促す」とするにとどめた。
行政による規制については、金融監督庁などの監督当局が、電子マネー会社に立ち入り検査や監督命令ができる権限を持つべきだとしたほか、業務や財産についての情報開示制度を作る必要性を明記した。
('98/6/17)
[Reported by masaka@impress.co.jp]