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【イベントレポート】

John Gage氏、基調講演でJavaの分散環境「JINI」の概念を紹介

「JAVA COMPUTING EXPO'98 for ENTERPRISE」開幕

■URL
http://www.nikkei.co.jp/events/jce/

 7月15日、企業向けJavaコンピューティング関連の展示会/コンファレンス「JAVA COMPUTING EXPO'98 for ENTERPRISE」が東京ビッグサイトで開幕した。会期は17日まで。出展企業は161社。'96年は「SPARC/UNIX COSMOS」、'97年は「COSMOS'97+JAVA COMPUTING EXPO」として名称を変更し開催されてきた展示会だが、今年は完全にJavaによるコンピューティングに焦点を当てたものになっている。



基調講演、John Gage氏が「JINI」を紹介
gage 1日目の基調講演に登場した、米Sun Microsystems社のサイエンスオフィスディレクターJohn Gage氏は、現在開発中のJava分散環境「JINI」の概念について語った。ネットワーク上に分散して存在しているアプリケーションやサービス、デバイスなどをそれぞれのデバイスからアクセス可能なJavaコンポーネントとして表現し、携帯電話や自動車、スマートカードなどといったデバイスからもネットワーク上のサービスを利用できるようにするための仕様がJINIとのこと。JINIで定義される内容は、デバイスの機能の定義、ネットワーク上にあるデバイス同士がアクセスする方法など。また、John Gage氏は「JINIのソースコードはフリーで公開し、企業でも個人でも開発ができるようになる」と仕様を広く無料で公開することを明らかにした。


展示会場、「JavaRing」に注目が集まる
 展示会場では、主に企業向けのJavaソリューションが出展されているが、「プレゼンテーションコーナー」では、JavaカードやJava OS搭載の家庭用ネットワーク端末など、生活の中で活躍するJavaの未来像を提示するコーナーも設置されている。

kotatsu 日本電気株式会社(NEC)は、タッチパネルを採用したJava対応ネットワーククライアント「WebPanel」を参考出展した。これは「こたつに入っているときのように、暖かいコミュニケーションを可能にするマシン」とのコンセプトの基に「こたつトップ」の名で開発されたもので、'97年の「Networld+Interop '97 Tokyo」でも参考出展されていた。NECによると、現在具体的な製品化の予定はないが、台所用、子供部屋用など機能を特化した形での製品開発はありうるとのこと。



 また、人気を集めていたのは「Java Ring」が抽選で当たるコーナー。Java RingとはJavaチップを組み込んだ指輪で、自己の情報を記録することによりIDカードのような使い方ができるというもの。会場では、参加者1人1人のJava Ringが計算した結果をまとめ、1枚のフラクタル画像を作るという分散環境コンピューティングのデモが行なわれた。なお、Java Ringは、国内では、5月に開催された技術セミナー「Java Developer Conference 98 Tokyo」に参加した開発者に配布されたが、一般の参加者が手にすることができるのは初めてだ。



 16日には一橋大学の米倉誠一郎教授によるセッション「ネットワークの進化と企業イノベーション~Javaは日本の産業を変えうるか?」が開催されるほか、17日にはアプリックス、NEC、日本ジェムプラスなどの企業による「家電を越えてひろがるJava環境」をテーマにしたコンファレンスなどが予定されている。料金は無料。コンファレンスは基本的に事前登録が必要だが、当日の受け付けもしている。ただし、状況により立ち見になる可能性もあるとのこと。

('98/7/15)

[Reported by okiyama@impress.co.jp]

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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp