マレーシアの首都クアラルンプールの中心部で暴動が発生――。こんな噂が先週末、インターネット上を駆け巡り、首都の商店が早々と店を閉めたり、通貨の急落を招くなどの余波に揺さぶられた。
マレーシア治安当局は「単なる悪ふざけに終わらず、国家の安全や民族融和にかかわる問題」(タジョル副内相)として、国内治安法違反の疑いでこの噂の発信源の特定を急いでいる。
噂は「市内の商業地区で暴動発生」「外国人労働者が刀剣を買い占めている」などという内容で、7日午後にインターネットを巡った。
噂に敏感な外国為替市場がすぐに反応。アジアは終了後だったが、ロンドンやニューヨークでマレーシア・リンギットが急落した。
マハティール首相は深夜の記者会見で噂を全面的に否定し、発信者を「裏切り者」と非難した。
マレーシア当局が神経をとがらすのは、クアラルンプールで来月中旬、スポーツの祭典「英連邦競技会」が開かれるからだ。タジョル副内相は「噂をまいて競技会を邪魔するのは国家転覆を企てるのと同じ。厳しい措置で臨む」と警告している。
('98/8/11)
[Reported by yuno@impress.co.jp]