IBMとチューリッヒ工科大学(ETH)の数学者のチームが、新しい公開鍵暗号方式を共同で開発した。カリフォルニア大学サンタバーバラ校で開催された「Crypto'98」の中で24日発表された。この新しい暗号方式は、開発者の名前をとって「Cramer-Shoup暗号方式」と名付けられた。
従来の公開鍵暗号方式は、暗号そのものを数学的に解読するのではなく、サーバーに対し一連のテキストファイルを注意深く送り付け、その反応パターンを分析することで解読ことが可能だった。この手口は、RSA Data SecurityのPKCS #1のセキュリティホールが発見された時にも話題になっている(本誌6月30日号参照)。
Cramer-Shoupには、こうしたハッキング手法に対抗するための別の計算群が追加されている。これにより、ハッカーは暗号を数学的に解読しなければならなくなり、事実上、解読することができなくなる。また、従来の公開鍵暗号方式の2倍程度の計算時間で処理できるため、商用化も十分可能だという。
IBMでは、将来的にSecureWayファミリーの「Vault Registry」にこの新方式を採用する予定。様々な電子商取引への応用が可能だろうとしている。
('98/8/25)
[Reported by yuno@impress.co.jp / ちびあゆ / Hiroyuki Et-OH]