米Time Warnerの出版部門Timeは8月28日、「Time」、「Fortune」などの雑誌を携帯型の電子ブックなどを媒体とするデジタル配信に順次切り替える方針を明らかにした。同社のニューメディア担当ダニエル・オークレント編集主幹が9月1日、東京で開くセミナーで表明する。
世界最大の出版社が電子出版を本格化することで、雑誌業界だけでなく新聞、印刷、紙・パルプ、運輸・通信関連企業などにも影響を与えそうだ。
計画によると、電子配信の受け皿として雑誌を読む感覚でページが繰れる電子ブックを一定期間以上の購読者に無料または低価格で配布。受信料を紙媒体より割安に設定して電子媒体へ転換するよう誘導する。
電子ブックは、携帯電話や通信衛星などを経由して1分間に500ページ分が受信可能。10月から米国内で300人のモニターを対象に試験配信を開始する。さらに他の出版社の記事配信を請け負う事業も始める。
同社の週間発行部数は2千万部弱で、年間の用紙代や郵送経費は合計10億ドル(約1,420億円)近い。
オークレント氏は「電子配信で購読料が下がり、経費が削減できる。今後五年ぐらいでは紙媒体はなくならないが、電子媒体は急激に増加する」と予測。約百年の歴史を持つ雑誌「Time」のハイテク化に意欲を示しており、将来は日本語版の配信も目指す。
('98/8/31)
[Reported by masaka@impress.co.jp]