米下院が11日、スター独立検察官のクリントン米大統領の不倫もみ消し疑惑に関する捜査報告書をWeb上に公開した。日本国内でも大きく報道されたので、すでにアクセスしたという方も多いだろう。Web上での公開ということもあって、インターネット業界でも様々な動きが見られた。
報告書の本文については、下記Keynote Systems社のページにリンク集があるので、そちらを参照してほしい。
●ネットワークのパフォーマンス
Keynote Systems社の調査によれば、11日の13時から14時にかけてこの報告書を見ようとする人が溢れた。しかし、主要なWebサイトのパフォーマンスを調べたところ、通常平均で8.02秒かかるものが8.55秒になったに過ぎず、インターネット全体としてのパフォーマンスの低下はほとんど見られなかったという。ただし、同報告書のコピーを掲載して報道したサイトへのアクセスはかなりのもので、この間のCNNとMSNBCへのアクセス失敗件数がそれぞれ32%と53%、さらに下院のサイトでは89%に上っていた。その後、いずれのサイトもパフォーマンスが改善されているが、下院のサイトだけは依然としてかなりのトラフィックが集中している。
●ユーザー獲得合戦
この報告書を掲載すればアクセスが集中する。これをビジネスチャンスと捉えた企業も多い。
例えば、Netscape Communications社。同社は「トラフィックの分散」を掲げ、ポータルサイト「Netcenter」でこれを特集、報告書の全文を掲載した。この報告書を見ようとこのサイトへアクセスした人がどれほどいるのか分からないが、大統領のスキャンダルとソフトウェア会社という組み合わせは何とも奇妙だ。
このほか、Yahoo!が報告書の全文検索サービスを提供、NEWS.COMに至っては報告書内にしっかりバナー広告を埋め込んでいる。
●企業向けソリューション
性的な表現も入り交じる報告書。これに敏感に反応したソフト会社もある。
企業向けのフィルタリングツールを提供するSecure Computing社は、ここぞとばかりに自社製品「SmartFilter」を売り込んだ。「従業員が報告書にアクセスすることを防ぎ、無駄なトラフィックを発生させず、生産性を向上させます」。
フィルタリングと言えば「子供向け」を想像する人がほとんどかもしれないが、今回のようなスキャンダルに関心を示すのは、むしろ大人のほう。会社の中からアクセスして、無駄に時間やトラフィックを費やされてはたまらない。
経営者やネットワーク管理者にSmartFilterのような製品を魅力的に感じさせる絶好の機会でもあった。
('98/9/14)
[Reported by yuno@impress.co.jp / shin-s@cyberdude.com / pctaro@kk.iij4u.or.jp / tatekawa@planet.club.or.jp]