INTERNET Watch Title ClickClick Here


【業界動向】

「プロバイダーは越えなければならない壁がある」高橋元会長語る

“新生”東京インターネットが記者発表会を開催

■URL
http://www.tokyonet.ad.jp/news/tnnews/news1002.html
http://www.psi.net/news/pr/98/oct1a.html
握手
movie
ビデオレポート
(RealVideo)
映像:W-VISION

 10月6日、都内で「“新生”東京インターネット記者発表会」が開催された。これは、10月1日に発表された、米国のプロバイダーPSINet社による、日本の大手プロバイダー東京インターネットの買収を受けて開催されたもの。発表会では、新たな役員構成、買収の背景、今後の事業展開について説明された。

 東京インターネットの新たな役員構成については、PSINetの日本法人PSINet株式会社の代表取締役Vincent Gebes氏が、東京インターネットの代表取締役を兼任し、また、東京インターネットの取締役会長であった高橋徹氏は、米PSINet社の上級顧問と東京インターネットの上級顧問を兼任することになった。記者発表会はこの2名により行なわれた。



gebes 東京インターネットの代表取締役となったVincent Gebes氏は、8月の「リムネット」買収も含めたPSINetのグローバル戦略を紹介し、東京インターネット買収までのいきさつを語った。それは3月に米PSINetのWilliam L.Schrader CEOから送られた「日本で一番のプロバイダーになるため何が必要か?」というメールが発端だったという。Vincent Gebes氏は「NTTを買収することだ」と冗談混じりに答えたが、実際問題としてキャリアと競合できる可能性があるプロバイダーを検討した結果、国内にインフラを持つ東京インターネットの買収を決断したという。

 東京インターネットの株主であるセコムとの交渉は6月から開始した。今後、セキュリティ分野の強化を図りたいセコム、逆に言うとプロバイダーとしての展開に限界を感じていた同社と、日本国内のバックボーンを強化したいというPSINet側の思惑の一致から買収が成立した。

 今後日本をベースに、さらにアジア、パシフィック地域での展開を狙う。また、来年度にインターネット電話、インターネットファックスサービスの提供を開始することも明らかにした。


元会長 次に登場した、前東京インターネット会長高橋徹氏は、「今回のPSINet傘下入りは、非常に重たいものがある」と語り、買収にいたるまでの東京インターネットの実状、また国内独立系プロバイダーの実状を語った。「これからのインターネットビジネス全体を考える時に越えなければならない壁がある。それを克服するものがPSINetによって示された」と買収について語った。
 高橋氏が言う「プロバイダーが直面する大きな壁」とは、つまり「高額な回線使用料」の問題とのこと。東京インターネットの収入の60%はキャリアへの支払いで消え、「キャリアに対するご奉仕になってしまった」という。また、「キャリアがプロバイダーをやるのは間違い」として、採算を度外視したキャリア自身の低価格攻勢が独立系プロバイダーの経営を苦しめているという現状を語った。
 そこで、独立系プロバイダーとして生き残るため、また、事業を展開するためにも、太い回線と大きな市場を持つPSINetの傘下に入る道を選んだとのこと。


 最後に行なわれた質疑応答では、PSINetは日本で第一種電気通信事業者の新会社を作るとの考えを明らかにした。回線の取得については、所有権を持つかNTTなど既存の通信業者からの長期リースによる方法が考えられるとしている。また、無線を使った市内網構築についても「積極的に準備を進める」としている。
 今回の発表会では、両氏によるOCN批判が聞かれ、反NTT的な色合いが強いものであった。高橋氏は「OCNができた時、NTTは『ISPつぶしではない』と言っていたが実際そうなってしまった。立ち向かっていくには、ただぶつかっていくだけではだめ。回線を持って安く高品質なサービスを提供していきたい」と語った。

 なお、PSINet、東京インターネットともに、主に法人ユーザーをメインに抱えているが、将来的には、両社の企画関連部署を統合してサービスを提供していく。「東京インターネット」の名称は今後もブランドとして残る。また、既存のユーザーに対してのサービスは、ドメイン名など含め一切の変更はないとのこと。

('98/10/6)

[Reported by okiyama@impress.co.jp]


INTERNET Watchホームページ



ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp