■URL
http://events.internet.com/fall98/ (Fall Internet World 1998)
毎年規模を拡大しているインターネット業界関連の展示会「Fall Internet World 1998」が、ニューヨーク現地時間の7日に開幕した。会期は9日までの3日間であり、650社を越える膨大な数の参加企業に加えて、多数のパネルディスカッションや記者会見が行なわれている。INTERNET Watchでは3日間、基調講演とともに会場の模様なども含めた現地レポートをお送りする。
Internet World初日は、パビリオン開幕前から来場者が列をなすほどの大盛況となった。同日、基調講演を行なったSun MicrosystemsのScience Officeディレクター、John Gage氏は、インターネットの普及により、簡単にネットワークにつながるデバイスが今後のコンピューティング環境を支配するだろうという展望を語った。また、同社の新たなソフトウェアアーキテクチャ「Jini」がこの方向性を強化するとも語った。
同氏は「コンピュータ業界のトレンドは、数年前のマルチメディア、現在の電子商取引(EC)から、将来は次世代インターネットの特徴を活かした分散型デバイスになりつつある」と語った。同氏は、現在のPCベースのソリューションは、複雑な上に安定性やパフォーマンスに欠け、しかもクロスプラットフォームではないと主張した。また、他デバイスと接続する際には必ずドライバーを必要とし、容量は大きくなる一方であるとも語った。Gage氏の後から登場したSunのリサーチ部門副社長、Bill Joy氏によると「MicrosoftのWindows NT 5はSunのSolarisの3倍の大きさである」という。
これは、現在のPCベースのコンピューティングが「ディスク中心型」であるからであり、今後は「ネットワーク中心型」に移行する必要があるという。両氏は、インターネットとJava、また分散処理環境の「Jini」が、これらの問題を解決し、次世代コンピューティング環境を実現するものになると語った。Jiniは、ネットワーク上でのハードウェアやソフトウェアの設定を容易に行なうためのソフトウェアアーキテクチャであり、Windows対応デバイスがドライバーのインストールを必要とするのに対して、Jini対応デバイスはその必要がない。Joy氏は「Jiniは、すべてのシステムを支配しようと試みる“ソビエト型”のMicrosoftに対抗するものだ」と語り、観客の笑いを誘った。
両氏は最後に、JiniとHTMLとを比較して「HTMLはコンピュータが人々に話しかけるための言語であり、Jiniはコンピュータがコンピュータに話しかけるための初のソフトウェアである」と語った。Sunは、商業製品の開発に関してはライセンス料を取るが、教育や研究向けにはJiniを無料で提供する。Jiniは今年の12月に正式発表される予定。なお、出荷開始されたSunの組み込み機器分野向けサーバーソフト「Java Embedded Server1.0」は、Jiniにも対応している。
('98/10/8)
[Reported by HIROKO NAGANO / iMMERS Inc.]