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【業界動向】

WIPOが「商標とドメイン名に関する公聴会」を開催

■URL
http://wipo2.wipo.int/process/eng/rfc_2.html (rfc-2)
http://www.nic.ad.jp/jpnic/domain/white-paper.html (ホワイトペーパー日本語訳)

 10月19日、世界知的所有権機関(WIPO:World Intellectual Property Organization)による「商標とドメイン名に関する公聴会」が開催された。

 6月に米商務省が発表したドメイン管理の民営化に関する最終案(通称「ホワイトペーパー」)では、非営利団体によるドメイン管理組織を設立することが提案された。今回の公聴会は、新組織に対してWIPOが提出する勧告において、商標とドメイン名との関連で議論しておくべき項目を検証するという目的で開催された。主催はWIPOで、弁理士会、特許庁、社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が協力している。WIPO、特許庁からのパネリストのほか、弁護士、弁理士、JPNIC会員らが参加し、検討項目が記載された文書「rfc-2」を基に議論が進められた。

 検討項目は、商標とドメイン名の登録における「紛争防止」「紛争解決」「gTLDにおける著名・周知商標保護」「新gTLDの追加と関連する知的財産権」の4点に大きく分けられ提案された。それらの項目には、さらに「ドメインネーム登録が効力を発揮するまでに、一定の待ち時間を課すことへの要望」といった詳細項目が設けられている。

 公聴会では、それぞれの項目について活発な意見が寄せられた。中国からの参加者は、中国の企業が商標名でドメインを登録する場合について「ほとんどの中国企業は中国語で商標を登録しており、(ドメインとして登録するには)会社名を翻訳するか、音訳するしかない。英語に慣れている企業に有利なシステムだ。どんな国でも自国語で登録できる新しいドメインシステムを構築してほしい」との意見がでた。

 また、「gTLDにおける著名・周知商標保護」の項目では、保護される商標、用語のステータスを蓄積したベータベースとして、特許庁の「防護商標リスト」を適用できないかとの意見が出た。防護商標とは、著名商標がその商標により提供されるサービス(商品)の分野以外にも商標権(禁止権)の効力がおよぶという制度で、他分野でその商標を騙り顧客吸引力を不正に利用しようとするものを防ぐ役割がある。なお、特許庁では、その防護商標のリストからの抜粋を10月末に同庁のホームページ上で公開する予定で、新gTLDでの登録時に参照するものとして利用できるとのこと。参加者からは「リストの公開については、悪用されるのではないかという危惧もあるが、企業側としては評価できる」との意見が出た。

 WIPOでは、今後同様の公聴会を世界各地で開催し、意見を求めて行く予定。ジュネーブでそれらの意見をまとめ、12月には新たな勧告「rfc-3」を発表する予定とのこと。

('98/10/19)

[Reported by okiyama@impress.co.jp]


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