■URL
http://www.aclu.org/features/f101698a.html
ftp://ftp.loc.gov/pub/thomas/c105/h3783.ih.txt
米国ではクリントン大統領が昨日署名した法案が、市民団体からの激しい批判の的となっている。ACLU(American Civil Liberties Union)、EPIC(Electronic Privacy Information Center)、EFF(Electronic Frontier Foundation)などの市民団体が共同で22日、フィラデルフィア連邦地裁に同法の無効を訴えて提訴した。原告側にはWarner Bros.、CNET、New York Times Onlineといった大手メディアも加わっている。
この新法は「Child Online Protect Act(COPA)」と呼ばれ、インターネットにアクセスする子供たちが有害な情報に接することのないようにとの目的でOxley議員らによって議会に提出された。法案では「未成年にとって有害な情報」を芸術性を含まない性的な表現とし、そうした情報を営利目的で未成年に閲覧させた者には5万ドル以上の罰金と6ヵ月以内の懲役を科す、としている。
これに対してACLUなどは'96年に憲法修正第1条を巡って激しく争われたCDA(Communication Decency Act、本誌'97年6月27日号参照)の再来だとして反対している。焦点となっているのは、CDAの時と同じく「未成年にとって有害な情報」の法的な定義が明確でないということ。しかし、この点について原告側は、CDAの判例があるだけに楽観視しているようだ。
興味深いことに、この法案が議会に提出された後に、司法省の立法局がこの法案には重大な憲法上の問題があるとして問題を提起している。当時その主張の中で司法省は、「未成年にとって有害な情報」の法案の中での定義が法的に不明確であり、違憲である可能性があることに加え、非営利的に運営されているニュースグループやIRC(Internet Relay Chat)などを通して有害な情報が得られるため、この法案の有効性が疑問視されること、さらに、法案の存在によって、より重要な猥褻事件の捜査に割くべき人員数が減少してしまうのではないかということなど、懸念を示していた。しかし、法案が成立したことにより司法省は疑問を抱きながらもこの法を擁護しなければならない微妙な立場に追い込まれてしまったことになる。
多くの議論を巻き起こしながらも、原告・被告双方の基本的な考えは一致しているようだ。それはEPICの法律顧問David Sobelが述べた「子供と憲法修正第1条両方を守る方法を考えよう」というコメントに集約されている。
('98/10/23)
[Reported by Taiga Aoki]