■URL
http://www.fujixerox.co.jp/release/981026.html
富士ゼロックスは、“利用権”という概念を取り入れたデジタルコンテンツの流通技術「デジタル・ドキュメント・セキュリティ・アーキテクチャー(DDSA)」を開発した。従来のデジタルコンテンツの流通方法がデータの“所有権”を売買するものだったのに対し、DDSAではコンテンツを閲覧・再生する権利を電子チケットとして提供する。現在のところインターネットとパソコンをプラットフォームとした利用環境が想定されているが、将来的にはネットワークテレビなど家電製品への組み込みも考えられる。
DDSAでは、コンテンツをRSAやDSAなどの公開鍵暗号により暗号化して配信し、利用権の購入者として認証された場合にのみデータを復号化する。考え方としては、コンテンツ自体は複製可能な状態で流通させ、これを復号化するための秘密鍵を利用権として販売するという方法だ。しかし、秘密鍵をそのまま配布したのでは、ユーザーが秘密鍵(利用権)を横流しする恐れがある。これを防ぐためにDDSAでは、利用権の購入者に発行する「アクセスチケット」とユーザーにあらかじめ配布しておく身分証明書「トークン」からその都度、秘密鍵を生成するようにしている。アクセスチケットは購入者のトークンだけに対応するとともに、トークンは複製がほぼ不可能なICカードなどの形態で提供される。正規の購入者でなければ、復号化に必要な秘密鍵が手には入らないわけだ。さらに、復号化されたコンテンツはメモリー上にのみ展開され、ファイル化されないため、利用権を持っていても復号化されたコンテンツ自体は複製できないようになっている。富士ゼロックスでは「“所有”に対して商品価値を見出す物理的な商品と異なり、(複製が容易な)デジタルコンテンツの場合は所有の特定自体が無意味」になっているとして、利用権による新しい流通技術を開発した。
DDSAは、WWWブラウザーやその他のアプリケーション、サーバーなどに組み込むことが可能。今後、対応製品の自社開発やベンダー各社へのライセンス供与が考えられるが、富士ゼロックスでは、まず自社でDDSAによるコンテンツ販売サービスを開始したいとしており、'99年春のスタートをめどに現在準備を進めている。
('98/10/28)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]