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【業界動向】

Netscape買収、AOLの狙いは何か?

■URL
http://www.netscape.com/newsref/pr/newsrelease707.html
http://www.netscape.com/newsref/pr/newsrelease708.html

 AOL(America Online)がNetscape Communications社を42億ドルで買収することが24日、正式に発表された。同時にAOLは、Sun Microsystems社と幅広い分野で戦略的な提携関係を結ぶことも発表した。

 発表によると、買収は'99年の春までに完了する予定。その後もNetscapeは、独立した部門として、これまで通りカリフォルニアに本拠を置き、現CEO、Jim Barksdale氏も買収が完了次第AOLの役員に就任する。会長のJim Clark氏や共同設立者のMarc Andreesen氏の去就は発表されていない。

 さて、AOLはこの買収で何を得るのだろうか。

 まず、Netscapeの持つポータルサイト「Netcenter」を手に入れることになる。それ自体から利益を上げることができるようになるだけでなく、そこに集まるトラフィックを利用して、AOL.COMやCompuServeなど、AOLの他のポータルやコミュニティにユーザーを誘導し、結果として複雑に絡み合った大規模なポータルを構築することになる。

 さらに、Sunとの提携では、Java技術を利用することによって、いつでもどこでもAOLに接続できるような環境の構築を目指す。PersonalJavaを使用してPDAや携帯電話、ポケットベルなどからでもAOLに接続できる「インターネットデバイス」の開発を視野に入れている。両社は共同でNavigatorやCommunicatorの次期バージョンを開発することも発表しており、そこでもAOLの持つコンテンツとクライアントとの何らかの融合が図られるものと見られる。

 また、AOLにとっては、コミュニティに大規模な電子商取引システムを導入することによって利益を上げようという狙いもある。Sunとの提携によりAOLは5億ドル相当のSun製品やサービスの購入を約束している(一方、Sunは広告・マーケティングの費 用としてAOLに3億5千万ドルを支払う)。AOLはそれを利用して、顧客がコミュニティ内に自由に仮想店舗を構え、受注や支払いなどの金銭取引を自動化するシステムを構築。顧客が電子商取引システムをAOLにアウトソーシングできるようにする。ポータル上の仮想店舗からの売り上げを見込めるだけでなく、それによって増加するトラフィックからも収入を上げられるようになるのだ。

 一方のSunは、AOLで構築されるこうした電子商取引システムを、他のサービスプロバイダーにも提供していく。提携によりSunはNetscapeの持つソフトウェアのマーケティング、販売を行なう権利を得たので、両社が持つマーケティングのノウハウを持ちあってシステムを販売する。電子商取引分野で確固たる地位を築くことがSunの狙いだ。

 AOLがNetscape買収の理由として最初に挙げているのは、Netscapeのブランドとしての価値だ。Netscapeという名前はインターネットと強く結びつけられてきた。AOLでは、そのイメージをAOLの他の商品と結びつけたいと考えている。買収が実質的に成功するかどうかは、そうしたイメージを持つNetscapeの企業文化を壊さずに、AOLの文化として吸収できるかということにかかっているのかもしれない。

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('98/11/25)

[Reported by Taiga Aoki]


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