【連載】
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 ニュースや雑誌に頻繁に登場する国でも、その生活事情やIT事情は案外知られていないものです。あまりなじみのない国だったら、なおさらです。この連載では、世界各地にお住まいの方から、生活者の視点で見たインターネット事情や暮らしについてレポートします。

第16回 ホリデーシーズンのお役立ちサイト ~南アフリカ~

イラスト・Nobuko Ide
 大晦日には紅白を見ながらおこたに入って、みかんを食べる。除夜の鐘を聴きながら、初詣に出かけ、寒さにちょっと震えながらおみくじをひいて…。そんなニッポンのお正月がちょっと恋しい。クリスマスをはさんだ二週間は休暇という社会人も多い南アフリカ。12月中旬から1月中旬にかけて学校もお休みです。ちょうどこの原稿を書いている1月7日は、夏のホリデーシーズンが終わろうとしているころです。

●プールサイドでバーベキューが南ア風お正月

 南アフリカのお正月は、プールサイドで南ア風のバーベキュー「BRAAI」(ブラーイ)が定番です。身につけているのはもちろん、ノースリーブにショートパンツ、もしくは水着。ぎらぎらと照りつける太陽は、肌をジリジリと焼きます。暑さに耐えきれなくなったら、クーラーの冷風ではなく、プールの水で体を冷やします。狭い庭ぎりぎりにプールを作っている家が多いのは、泳ぐため、というより、実用面での意味が大きいような気がします。
 今年の元旦も暑かった-。家人の仕事の関係でヨハネスブルグを離れられなかった我が家では、知人家族をお招きしてミニパーティを開き、ささやかにお正月気分を味わいました。あまりの暑さにブラーイはパス。でも、周囲の家々からは、お肉の焼けるよい匂いが漂ってきました。南ア人ってけっこう根性があるのかもしれません。
 家でゆっくりくつろぐ人がいる一方で、家族の住むオーストラリアやイギリスなどの海外へ、または、国内のリゾート地やキャンプ場へでかける人もいます。世界的な観光都市であるケープタウン、国内各地にあるライオンやシマウマ、キリンなどの野生の動物が生息しているゲーム(自然保護区)、インド洋に面したダーバンなどが主な行き先です。

 12月の中旬を過ぎると朝夕の交通渋滞はなくなり、周囲から人気が消えます。取り残された人間にとっては寂しい限り。ところが、1月2日になって急に、7日から4日間の休暇が取れることになったのです。

●インターネットでホテル探し

 さあ、ここで頼りになるのがインターネット。海外旅行やパッケージ旅行を探すなら「eTravel」「South African Travel Services」といったサイトも要チェックですが、今回必要なのは宿泊ホテルの確保だけです。
 まずチェックしたのは、「Last minute holiday」。最大70%オフのパッケージ旅行やホテルアコモデーション、航空チケットが探せるサイトなのです。フランス、イタリア、アメリカ、イギリスなど9カ国でも運営しています。ちなみに掲載されていたのは、高級サファリ・リゾートとして知られている「Mabila Game Reserve」が42%オフの1泊1,480ランド(約1万6,000円)。二人分の宿泊費、全食事、四駆にのって野生の動物を探すゲームドライブが2回ついています。5つ星ホテルの「Coach House Hotel」は40%オフの1,000ランド(約1万1,000円)。

 でも、わたしの希望は「飼い犬のラブラドール・ンニャマも一緒に泊まれるヨハネスブルグ近郊の宿」、もしくは「ドラケンスバーグ周辺の宿」。まずは犬OKの宿を、日本でいうJAFに当たる「AA」(Automobille Association of South Africa The AA)が出版した小冊子で見つけました。"Dog by arrengement"と表記していたというのに、電話してみると「ラブラドールは大きすぎる」と相手にしてくれません。
 犬を飼う家庭の多い南アフリカでも、犬連れの宿泊客は残念ながら歓迎されないようです。ンニャマは吠えないし、トイレのしつけも完璧なのに…。そういえば、カフェでお茶するワンコも見かけません。パリではオープンカフェだけでなく、室内のレストランでさえ犬同伴のお客もいたというのに…。南アフリカでは番犬かわりに庭で放し飼いしている家庭が多いので、犬の位置付けがパリと南アフリカでは違うのかもしれません。
 南アフリカのサーチエンジン「ANANZI」で見つけた「Where to Stay」掲載のB&Bは距離的に遠く、4~5時間もの長距離ドライブに我が家のンニャマが耐えられるのか不安です。

南アフリカの生活に欠かせないブラーイ台と自宅のプール 愛犬・ンニャマ。今回は残念ながらお留守番

●目指せ、ドラケンスバーグ

 休暇は2日後に迫っています。後ろ髪は引かれましたが、今回は犬連れの旅行はあきらめ、ドラケンスバーグ地方のホテルに絞ることにしました。ドラケンスバーグ地方は3,000メートル級の山々が連なる南アフリカの屋根とも言われている地方。200万年前の地殻変動が創り出した絶壁が何重にも重なっていて、ぜひ訪れてみるべきだと何人もの人に進められた場所です。
 ホテルを探すなら「Portfolio Collection」のサイト。ポートフォリオは、南アフリカのホテル、B&B、ロッジなどの宿泊施設のガイド本を出版していて、「あたりはずれの大きいB&Bも、ポートフォリオ掲載のところなら安心できる」と評判です。
 ドラケンスバーグ北部のBergvill(バーグビル)に2軒のホテルがあり、そのうちの1軒、Montusi mountain lodgeに予約が取れました。今回は電話予約しましたが、インターネットでの予約もでき、2時間から12時間以内の応答が約束されています。水着とトレッキングシューズを準備して、行ってまいります。


 旅行会社を通すと返答をもらうのに時間がかかったり、実際の雰囲気も担当者まかせになってしまいますが、以上に紹介したようなサイトを利用すると自分の目で建物の外観、室内の様子などチェックできて安心です。初めてのネット上でのホテル探しは、思いのほかスムーズに進みました。南アフリカでは旅行会社側の不手際で嫌な思いをすることも少なからずあるので、これからはネット上のサイトを利用する機会が増えそうです。
 余談ですが、さきほど、「The Last minute」をチェックしたら、ドラケンスバーグのヘルスリゾート40%OFFの情報。私が予約したロッジより格安で、サウナ付きだし、ホテル敷地内にはゴルフ場が……。これがラストミニッツのツライところでもあり、楽しいところでもあるのでしょう。

「Portfolio Collection」のサイト 今回訪れたロイヤルナタール国立公園で撮影

◎執筆者紹介◎
カネコ アヤ 夫の転勤に伴い、ヨハネスブルグに転居して一年半。日本では新聞社の記者を経て、ライターをしていましたが、いまはボビンレース、ステンドグラス、デコパージュなどの趣味に生きてます。目下の楽しみは、ブラックのラブラドールレトリーバ・ンニャマ(ズールー語で黒・生後八ヵ月)の成長。悩みは、運動不足からの体重増加と、上達しない英会話。

 ◎次回は韓国在住の松本さんが担当します。お楽しみに!

◎「アクロスtheインターネット」その他の回はこちらから

(2002/01/18)

[Reported by 金子 理]


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