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ニュースや雑誌に頻繁に登場する国でも、その生活事情やIT事情は案外知られていないものです。あまりなじみのない国だったら、なおさらです。この連載では、世界各地にお住まいの方から、生活者の視点で見たインターネット事情や暮らしについてレポートします。
「安寧ですか?」
これを韓国語で発音すると、「アンニョン(安寧)ハセヨ?」となります。「こんにちは」という意味ですね。
今回からこの連載で韓国レポートを担当することになった、松本真輔と申します。現在、慶熙(キョンヒ)大学というところに勤務して、いわゆる「日本語の先生」をやっています。今回は自己紹介も兼ねて、韓国の大学の様子について、お話したいと思います。
●気候に適した(?)学期制度
イラスト・Nobuko Ide
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また、学期期間中に試験が二度行なわれます。大学にも中間試験と期末試験があるんですね。したがって、年に4回試験があります。何か、高校みたいです。学生も大変ですが、出題・採点をする教員の負担も結構大きいです。忙しいからと、中間試験の採点を後回しにすると、あとで「うげぇ~」と頭を抱えることになります。
授業の時間割も、日本とはかなり異なります。日本では、一科目につき、90分授業が週一回というパターンが一般的ですが、私の勤務校では、75分授業が週二回あります。授業時間は、大学によってまちまちなようで、50分授業を週二回といったところもあります。何となく高校のような気分になりますが、語学の場合は、これくらいのタームでやった方がいいような気もします。
慶熙大学水原(スゥオン)キャンパス。私の勤務地 | こちらは慶熙大ソウルキャンパス、桜の名所としても有名 |
●IT先進国って言われるけど……
さて、韓国と言えば、何かと「IT先進国」という報道が、日本でなされているように思います。確かにADSLの普及率は、日本より遙かに高いようです。ただ、大学の状況を見ると、日本と極端に差があるようには感じられません。日本だって、今時、どこの大学でも端末室はかなり整備されてますし、研究室にも専用回線がひかれています。回線速度もそこそこ速いですし。
ただ、学生の寄宿舎にも、全てLANが入っていて、この点は日本よりいいかもしれません。一昨年あたりから、「BK(Brain Korea)21」と銘打った“大学テコ入れ政策”が行なわれ、各大学に施設の改善を命じてから、一気に広がったようです。私は、'98年に、高麗大学の寄宿舎に住んでいたのですが、その時点ではまだLANはひかれていませんでした。今は全ての部屋にLANが来ています(ちなみに、当時は冷房設備もなかったんですが、「BK21」のおかげで今は改善されたらしい……←多少恨み節)。
一方、学内の事務処理は、かなり電子化が進んでいます。学生の受講申請は、全て端末からの受付になっています。シラバスの入力や閲覧、成績管理も、端末でしか行なっていません。今学期からは給料明細も全て端末からのチェックのみになりました(笑)。
また、修士論文、博士論文も、web上で公開するところが増えてきました。大学や専攻によっては、電子テキストでの提出を義務づけているところもあります。
こういった事務の電子化は、日本でもかなり進んでいるように思うのですが、一番の違いを感じるのが、年輩の方の熟達具合です。
日本の大学だと、お年寄り(失礼)の先生の中には、端末なんて問題外、という方がかなりいます。というより、メールすら使えるかどうか怪しくて、手紙か電話でしか連絡がとれないという人が、多数派です。海外にいると、「せめてメールくらいチェックできるようにしといてよ」とぼやきたくなることもあるのですが、韓国では、たいていの人がメールでOKです。若い世代に極端な差は感じませんが、上の世代に大きな違いがあるということです。
慶熙大水原キャンパスのPCルーム。整然 | 同本館前。大学には見えない!休日には近隣住民が散歩に押し寄せる |
◎執筆者紹介◎ マツモト・シンスケ 韓国の慶熙(キョンヒ)大学で、「こんにちは」から「いてまうど、われ」まで、多種多様な日本語を教えています。現在の目標は、タクシーの運転手と言葉を交わしても、日本人とバレないような韓国語の発音を身につけること。 |
(2001/9/21)
[Reported by 松本真輔]