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ニュースや雑誌に頻繁に登場する国でも、その生活事情やIT事情は案外知られていないものです。あまりなじみのない国だったら、なおさらです。この連載では、世界各地にお住まいの方から、生活者の視点で見たインターネット事情や暮らしについてレポートします。
イラスト・Nobuko Ide
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実は、韓国でもWinMXユーザーがいて、ネット上ではさまざまなファイルが飛び交っているようです。実際にどれくらいのユーザーがいるのか、学生達にも聞いてみたのですが、「自分は使ってないけど、友達がやっている」という模範的(?)な解答が帰ってくるばかり。韓国のいくつかの検索サイトで探しても、出てくるのは英語と日本語のサイトばかりですから、まだそれ程の浸透はしていないようです。
あんまり大きな声では言えませんが、単純にアプリを手に入れるだけだったら、そんな面倒なことはしなくても何とかなりますから……。近年は、不法ソフトの取り締まりも相当に厳しくなってきましたが、それでもまだ日本に比べれば緩やかだと思います。
ファイル交換というと、アプリ以外にも音楽や動画の交換も行なわれていますが、むしろ、こっちの利用者の方が多いかもしれません。
大っぴらには言えませんが、映画なんかも、かなり簡単に鑑賞できます。これは国内外の作品を問わずで、外国のものも多数あるようです(当然、韓国語字幕ですが)。学校の端末室に行くと、昼間から映画鑑賞をしている学生にでくわしますし。
あんまり書くと、どこからお叱りの言葉が飛んでくるかわかりませんから、敢えて「学校以外の場所で」と断っておきますが、端末で日本の有名アニメを見ているところも、何度も目撃しました。
韓国では、日本の劇場版アニメにはまだまだ規制がかかってますが、ネット上だと基本的に何でもありです。日本の懐かしいアニメなんかも流れています。もちろん、新しい作品もです(ちなみに韓国語吹き替えと、字幕のものがあります)。
なかには版権をクリアしているところもあるのかもしれませんが、有料サービスなんてほとんどありませんし、こっちのマニアは、そういった作品を集めて、しっかり公開しています。おまけに、行政機関なり監視機関のチェックがヌルヌルなんで、事実上、野放しです。誉められたことではありませんが、現実は現実。
日本の流行歌なども、ほぼリアルタイムで聞いています。学生とカラオケに行くと、レパートリーの多さに、本当に驚かされます。日本のCDとかは販売禁止のはずなんですが……。
新聞なんかでも、「日本文化解禁か?」とよくやってますが、こういう現実を見ると、ほとんどお笑いですね。高速ネット網によるインターネットの世界が、現実より遙か先に行ってしまっているという感じです。
日本のアニメを配信するサイトは数多い |
●テレビ局自身がネットで番組をリアルタイム配信
……とまあ、あんまりヤバイ系のことばかり書いていても何ですので、正式に行なわれているサービスについて触れておきましょう。
私は基本的にテレビをほとんど見ないので、現在もテレビなしの生活をしています。それで別段困ることもないのですが、たまにテレビを見たいときはどうするか?
実は放送局のサイトに行くと、全ての番組が、ほぼ同時にネット上で配信されています。
日本だと、ネット配信と言っても、ニュースが細切れになってるだけですが、こちらはTVと同じものが、リアルタイムで見られるんです。ニュースやスポーツ中継を見るときなんかは、重宝しますね。しかも全国放送のネット局、KBS、MBCがすべて同じサービスをしてますから、日本国内でも事実上、韓国の全国放送の地上波が視聴可能です(日本の場合、放送法の関係で完全なネット配信ができないらしいですが)。
ちょっと前までは、SBSもネット放送をやっていたのですが、最近会員制になってしまいました。ここは会員登録に住民番号が必要なため、基本的に外国人は見られません。ただし、中継ネットのPSBやTBCといった地方局に行くと視聴が可能です。
私はサッカーの試合を見るために、よくこのサービスを利用します。深夜に、世界のサッカーを結構放映してて、日本代表の試合(対韓国でないもの)も、かなりフォローしてくれています。先日のイタリア戦は、録画で深夜に中継がありました。
ただ、私の使っているノートパソコンの液晶画面では、球がどこにあるのか、よくわからない時がありますが(^_^;)。
韓国3大放送局、左からKBS、MBC、SBS。KBSとMBCはトップページの「OnAir」ボタンから、インターネット放送へアクセスできる |
◎執筆者紹介◎ マツモト・シンスケ 韓国の慶熙(キョンヒ)大学で、「こんにちは」から「いてまうど、われ」まで、多種多様な日本語を教えています。現在の目標は、タクシーの運転手と言葉を交わしても、日本人とバレないような韓国語の発音を身につけること。 |
(2001/12/14)
[Reported by 松本真輔]