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【編集部から】
インターネットといえば、かつてはアメリカ独走の感がありましたが、最近ではヨーロッパやアジアなど、世界各国でインターネットが盛んに利用されています。この連載では、ドイツで暮らしているkajoさん・taogaさんのお二人が、現地の最新インターネット生活をレポートします。乞うご期待!
■ドイツ語PCで日本語を使う難しさ
イラスト・Nobuko Ide
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Windows3.1の時代は、MS-DOSプロンプトでConfig.sysとAutoexec.batを書き替え、デュアルブートを実現できた。最初にメッセージが出るように設定して、起動メニューでどちらかの言語を選択できるようになり、あっさり解決していた。
これが、Windows95の出現で効かなくなった。そこで、OSの異なるバージョンを切り替えて起動し直せるようなプログラムを作り、2種類の言語のインストールを可能にしてみたところ、いくつか問題が起きることがわかった。Windowsのシステム自体は違うフォルダに収まるのに、日本語版と英語版は同名の「Program Files」を共有してしまうので、混乱が起きるのだ。ドイツ語版だと「Programme」と名前が変わるため、この問題は起きなかった。なお、フォルダ名が「Programma」となるイタリア語版でも問題はなかった。
またドイツ語版で使っている時に、日本語で保存してあるファイルが壊れてしまうことも時々あった。
現在は、ドイツ語と日本語両方を使えるソフトも数種類出回っているので、あえて自分でプログラムを書く必要はなくなったし、選択の余地が増してうれしい限りではある。しかし、根本的な問題を解決しているわけではないので、導入には多少注意が必要かもしれない。
■Global IMEを使えばWebとメールは簡単!
ドイツ語版Windows上で日本語を表示している画面。拡大してじっくりご覧あれ
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これから2カ国語でインターネットを利用したいと思っている人たちにもきっと役に立つと思うので、あえてドイツ語バージョンを使った日本語対策を紹介したい。これがドイツに住んでいる人だけではなく、多言語を、あるいは数種類のOSやバージョンを使いたい人たちにも参考になれば嬉しいと思う。
私に尋ねてきた多くの人たちの希望は、私と同じ条件、つまり日本語とドイツ語の多言語同居だった。英語と日本語間なら起きない問題を起こす犯人は、ドイツ語に特有の「ウムラウト」という特殊文字だ。逆にドイツ語から見ると、2バイト文字の日本語はすべて特殊文字なのだから、これは大変。この“文字化け”に対する悩みは、ヨーロッパに暮らしてPCをいじる人たちにとっては深刻だ。私が受ける相談が文字化けについての質問から始まることが多いのも、当然かもしれない。
しかし、Webサイト閲覧を、そして電子メールの読み書きを日本語で行なうだけなら、おなじみの「Internet Explorer」や「Outlook Express」で、ドイツ語版Windows上でも簡単に実現できる。この事実を知っている人が、意外と少ないことには驚く。実際、無料でインストールも簡単なので、使わない手はないと思う。
最も簡単なのは、「Internet Exploler 5」以上を新たにインストールすることだ。カスタムインストールで、「複数の言語サポート」--ドイツ語版なら「Automatische Sprachauswahl」--を選択して希望の言語を選ぶことで、その言語が使えるようになる。すでにインストール済みの場合は、「コンポーネントの追加」--ドイツ語版では「Hinzufuegen / Entfernen」--で、希望の言語をプラスできる。
設定が面倒なので新たにインストールするのはイヤという場合は、「Global IME」をインストールする手もある。MicrosoftのWebサイトに手順が詳しく説明されているので、それを参考に「Global IME」のファイル(日本語用だと約5.2MB)をダウンロードして、インストールしてみよう。
どちらの場合も再起動後に、スタートメニューに新しくインストールされた「Microsoft Global IME」が見つかるはずだ。ここでJapaneseを選択すると、例えばメールを書こうと「Outlook Express」を呼び出した時に、タスクバー右下の「DE」というアイコンから日本語IMEの「JA」に切り替えることができるようになる。たったこれだけで日本語が使えるようになるのは驚きだ。
■それでも使い分けたい人には、究極の選択を!
大活躍している5台のHDD
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それでもめげずに多言語を1台のPCで共有させたいと願う人たちに残される道はいくつかある。大きく分けると2種類で、先にも触れたソフトで切り替える方法か、あるいはハードで言語ごとに独立させるか。どちらにも長所と短所があって、選択が難しい。もともと複数言語のバージョンを共存させるようにはできていないWindowsだし、多少はゴマカシが必要なのだ。
そこで、DOS、Windows3.1の時代から現在まで9年間、ドイツ語+日本語の共存と格闘してきた私の勧める究極の多言語共有の解決方法を紹介しよう。
リムーバブルタイプのハードディスクをいくつか用意して、Cドライブを入れ替えてしまうことだ。これが一番。できることなら2台目のハードディスクを常駐のものとして用意し、Dドライブに設定しておけば、ファイルの置き場所は共有できる。ただ、異なる言語のOSでファイルを開けるとデータを壊してしまうことがあるのは同じなので、多少の注意は必要だ。またリムーバブルとはいえハードディスクを扱うので、ぶつけたり、落としたりしやすいそそっかしい人には向かないのかもしれない。また、ハードディスクを買い足すのはイヤだという人にも向かない。この方法でコストがかさむのは、残念ながら避けて通れない弱点でもある。
私は今、5種類のハードディスクを入れ替えながら、1台のPC本体を使っている。WindowsMe日本語版が、一番よく使う1台目のHDD。次の2台目がWindows98でこれも日本語版、既にアップロードしてある全てのホームページ用のデータが詰まっているもの。ソフトやドライバーのお試し用には3台目が用意してある、このハードディスクのOSと言語は、試してみたいプログラムにより頻繁に変わる。つまりWindowsに限らず、OS全般のお試し用でもある。4台目はドイツ語版Windows98と、ドイツ語のソフト専用。日本語ではどうしてもダメなものだけが詰まっている。最後にWindows2000日本語版の5台目。個人的にはあまり役に立っていないので、もっぱらドライバや古いプログラムが動くかどうかのお試し用に成り下がっている。でも、どれも皆、自分たちのお役目を立派に務めている。
ただ、ハードディスクを入れ替える必要が起きるたびに、机の横に置いてあるPCの前で床に膝をつけて、ほぼ土下座の姿勢になる。頻繁に起きるこの有様。あたかもPCに謝りながら、もしくはお祈りしながら仕事をしているようなこの姿は、あまり他人に見られたくないような……。
◎著者自己紹介 過去の歴史を振り返ってみると、17世紀、18世紀と飛躍的に進歩を重ねたドイツの歴史。それに比べて、過去2世紀間の発展は緩やかだったように思われます。そして今始まったばかりの新世紀はインターネットの時代に突入し、大きく変化を遂げようとしているところ。独国的電網生活「原始時代」は、もう終わり。後の世になってこの21世紀が、ちょうど「ルネッサンス時代」や「バロック時代」のように「インターネット時代」と呼ばれるようになった時、私もその一端で歴史を作ったと言えるようになりたいと思っています。 |
(2001/01/19)
[Reported by taoga]