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【連載】

 アウトバーン通信 ~独国的電網生活 

【編集部から】
 インターネットといえば、かつてはアメリカ独走の感がありましたが、最近ではヨーロッパやアジアなど、世界各国でインターネットが盛んに利用されています。この連載では、ドイツで暮らしているkajoさん・taogaさんのお二人が、現地の最新インターネット生活をレポートします。乞うご期待!

第4回 ドイツでのオンライン宿泊予約 (by taoga)

■ドイツの町はWebサイトが充実


イラスト・Nobuko Ide
 仕事で3日間、ケルンに行くことになった。
 これだけインターネットに埋もれる毎日を過ごしていても、オンラインで物を注文したり、何かを予約したりすることは一瞬躊躇してしまう私。なぜって、旅行代理店ではもちろん、電話で予約する時でも、そこには伝える相手がいるからだ。オンラインでの相手の見えない予約方法は、ちょっと不安になってしまう。
 でも待てよ、手紙やFAXの時だって、送るときには相手が見えないじゃないか。それならば、今回はひとつ奮起して挑戦し、その体験談をお伝えしてみるのもおもしろい。さあ、今こそオンラインでホテルの予約をしてみようではないか。

 思いたったならすぐにでもと、さっそく調べてみる。
 ドイツ内での宿泊、催し物を捜すなら、まずその町の名前を入れたURLを調べてみるに限る。今回のケルンなら、“http://www.koeln.de/”と入れてみよう。無事に公式サイトが登場して、滑りだしは順調。

 案の定、トップページは町の紹介や催し物など、多くの写真とリンクで満たされている。たくさんの情報に埋もれながらも、ホテルを探すための「Suchen& Direkt Durchbuchen」(検索&ダイレクト予約)というのが見つかった。
 そこをクリックして飛んだページは、ドイツの大都市にあるホテルの部屋をオンラインで探し、その場で予約もできる「Hotel Reservation Service」(http://www.hrs.de/)という別のサイトのようだ。したがってもう一度、町の名前を記入する欄があるので、迷わず「Koeln」と入れる。

 ここで気をつけなくてはならないことは、ドイツ語には見慣れない字があることだ。例えばこのケルン。オリジナルでは「K」に続く二字目の「O」の上にウムラウトと呼ばれる二つの横に並ぶ点がある。この「O」以外にも、「A」「U」にも見られるこの文字は、「E」を付け足して「OE」「AE」「UE」と表記する決まりになっている。蛇足だけれど、その他にもドイツ語の文字だけに見られる文字として、エスツェットと呼ばれるベータに似た文字がある。これは「S」が二つと同じなので表記はもちろん「SS」だ。

 さて、町の名前を入力したあとは、宿泊日、そして次に部屋の種類、一人部屋と記入し、探す最高額を50マルク(約2,500円)と入れてみる。OKをクリック。
 「あははっ、そんな安いのあるか……」とは言われなかったものの、リストの最初は、入力値は知らん顔で90マルクから始まっている。後で知ったことだけれど、実際には町のツーリストオフィスに用意されているホテルのリストから安い宿を見つけることは可能だという。つまり、このサイトでは扱っていないだけのようだ。安い宿を予約するなら、やっぱり電話の方がいいかも……(^_^;)。

■報の見極めが肝心?


 とにかく今回はこのサイトから探してみることに決めた。少し高いけれど、105マルクくらいに目星を付けてみた。リストの各ホテルに付いている星の数はホテルのカテゴリーだ。ということは、ひと晩105マルクのホテルが3軒あるのに、2つ星、3つ星、と4つ星と記されているではないか。これは星の多いほうが高級なホテルと想像できる。
ケルンの街並み
 そこで、「Savoy」という名前が出ている4つ星のホテルをクリック。右に並ぶボタンから「Hotelinfos」(ホテル情報)をクリックすると、いくつかの写真が現れる。なかなかよさそうだ。しかし荷物を持って延々と歩くのはいやなので大事なのはホテルの場所。「Strassenkarte」(地図)とあるボタンを押すと、ホテルの地図が現れた。やった、駅から近いぞ。ン? 「Panoramaansicht」(パノラマ展望)というボタンもあるから、ついでにそこをクリック、部屋の中を一回り見渡せるようだ。でも、ここで見る広々とした部屋と、自分が泊まる一人部屋とは異なることは念頭に置いておかなければならないかも。
 さて、いざ予約だ。「Zur Buchung」(予約へ)というボタンをクリックすると、到着が午後6時より前か後かを聞いてくる、夜遅く着く場合はクレジットカードの番号が必要なようだ。今回は午後には着くので上の「bis 18.00 h」(18時まで)をクリック。メールアドレス、電話番号、名前の順に入力し、最後に特別な希望を書く欄があるので、禁煙部屋とか静かな部屋とか書き入れてみた。もっとも駅の近くで四方を大通りに囲まれているこのようなホテルで静かな環境を求めるほうが無理なのか、これについては希望が反映されているのかどうかは定かでない。窓を閉めれば静かだ……とか。
 最後に「Weiter」(続行)をクリックして、入力したものを確認して「OK」。無事に受諾された確認のページをプリントして、とりあえず完了。数分後には受諾のメールが来ていたので余分だったかもしれないが、念には念をいれたほうがいいだろう。

■さて、結末は?


 数日後、いざとなったら野宿を覚悟で、いやこれはちょっとオーバーだが、実際に半信半疑で出かけることになった今回の旅行。だが、ホテルのフロントで私の名前を告げた時に確かなものに変わった。実際、当たり前のことではあるが、他の手段で予約した時と同じように、ごく普通に応対されたのだ。笑われてしまうかもしれないけど、ホッとすると同時に、時代もここまで進んだのだと改めて感動させられてしまった。逆に言えば、何か面白いことをお伝えしようと思っていた私のもくろみは、ガラガラと音を立てて崩れ去り、私といえばその崩れてきた何かの塊に下敷きになりかかり、一人で冷や汗をかいていただけのような……。

 その後ボンに行く機会もあり、もう一度同じパターンで予約してみた。元首都の誇りなのか、多少割高な感じがしたのと、同程度の値段の割にケルンほどいい思いをしなかったのは、偶然なのかもしれない。  いずれにしても、どちらの町からも印刷されたホテルリストを持って帰ってきたし、次はもっと安いホテルに電話で予約しようかな……。オンライン予約は始めて行く町なら重宝するので、知らない町に行くときは、また使ってみようと思っている。

◎著者自己紹介
 日本には戻らないと言い捨てて羽田を飛び立ち、南回りの飛行機で24時間。ひとり北国の土地を踏みしめたのは、もう25年も前。その言葉どおり、ドイツに根を生やしてしまった私。でも、こんなに遠い地球の裏側にいても、以前より日本が近く感じるのは、インターネットのお陰。「遠近」という感覚が今まで通りに計れなくなる時代はそこまで来ている。それが夢の世界でないことを「素晴らしい」と心から思えるのも幸せなことか……。

(2000/11/17)

[Reported by taoga]

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