INTERNET Watch Title
Click

【連載】

 アウトバーン通信 ~独国的電網生活 

【編集部から】
 インターネットといえば、かつてはアメリカ独走の感がありましたが、最近ではヨーロッパやアジアなど、世界各国でインターネットが盛んに利用されています。この連載では、ドイツで暮らしているkajoさん・taogaさんのお二人が、現地の最新インターネット生活をレポートします。乞うご期待!

第7回 オンライン・ショップの利用価値度チェック
  ~音楽CDの場合(by kajo)

■ドイツ人はオンラインでクリスマス・ショッピングを済ませるか?


イラスト・Nobuko Ide
 前回の記事で、ドイツは早くもクリスマスを祝うムードに突入……と書いたけれど、もちろん今もまっただなか。そして、ハイライトはもちろん、24日と25日。日本は“クリスマスは恋人と”、そして“年越しとお正月は家族と”一緒に過ごすようなイメージがあるけれど、ドイツでは逆になる。少なくとも年に1度、このクリスマスの時期には、ふだん離れて暮らしている家族・親戚が顔を合わせる習慣だ。それこそ大勢が集まる家では、ダンボール箱に山ほどクリスマス・プレゼントを積んで集結する姿で、なかなか壮観だ。
 ちなみに年越しは、ハンブルクでは港に集まって花火を上げて大騒ぎするのが恒例。しかしこれ、すっかりハイになった輩が人に向けて花火や爆竹を投げたりすることもあって、“危険である”と足を向けない人も多い(チャレンジャーではない私も、その評判の悪さに、これまで1度も行ったことがない)。まぁ、港に行かなくとも外に出てパーティで大騒ぎ、もしくは港でなくとも花火を上げて“騒ぐ”のがドイツ人流であることは間違いない(日本の除夜の鐘がちょっぴり懐かしい)。

 それで、クリスマスの話の続き。
 この時期、ドイツ人の頭を悩ますのは、親戚にも渡さなければならない、毎年恒例のクリスマス・プレゼントである。「これまで何をプレゼントしたかチェックしておかないと、わからなくなってしまう」と友人が漏らしていたことがあるけれど、年に1度しか会わない、例えば兄弟姉妹の配偶者やその子供に渡すプレゼントというのは、結構手間が掛かりそうだ。
 そして、今年この時期のテレビCMで目立つようになったのは、“インターネットでプレゼントを注文・配送する”サービス。子供のおもちゃから、意外と多い本のプレゼント、そして“珍しい品物もネットなら簡単に探し出せる”という凝ったサービスまで、実にさまざまだ。
 とはいえ、オンラインで手軽にプレゼントを購入することは、やはり「誠意」が感じられないと思うドイツ人もいるようで、大切な人にはオンラインでは買わない、という意見もちらほらと聞いた。

■音楽CDをオンラインで注文!


ハンブルグのクリスマス市のイルミネーション
 しかし、今回ここで「私がクリスマス・プレゼントをネットでどう手に入れたか」を紹介するほど多くのプレゼントに頭を悩ます立場にはないので(苦笑)、このあたりでひとつ、必需品でもある音楽CDを有名サイトでお買い物してみるか、と重い腰をあげてみたのが、今回のお話。
 ところでなぜ、“腰が重い”のか。
 その理由は至極当たり前かもしれない。
 CDに関しては情報がすでに入っている状態で店に出かけることがほとんどだが、試聴して予定外のものを買う場合もある。でもとにかく、近くに店があるのだから、わざわざ注文しなくても、というのが理由だ。去年あたり、何度かそういったオンラインでのサービスを覗いたことはあったのだが、価格は別段安くなく、しかも配送料がかかることで、そこに利点を見出せなかった部分もあった。以来、そういうサービスを利用しようという気がまったく起こらなかったというのが実状だ。
 果たしてその後、状況は好転しているのか。ネットで音楽CDを買うことは、便利なサービスとして定着していくものなのか。

 今回チェックしてみたのは、大手「bol.de」と、「amazon.de」。両サイトとも、このシーズンはクリスマス・プレゼントを意識したサービスが大プッシュされている。
 今回はあくまでも「自分の目当てのCDに関して、より便利でお得なサービスを利用する」という基準で、両サイトの優劣を比較するわけではない。その基準とは、CDの価格、配送料の有無、そして配送時間の3点。試聴に関しては、両サイトともにRealPlayerで全曲可能だったので、同条件とみなした。
 結局、私は「bol.de」を利用することにした。CDの価格がわずかながら「bol.de」の方が安かったこと(店頭で売られている価格よりも、幾分安めでもあった)、配送料が無料になる合計価格が、音楽CD/DVD/VIDEOに関しては「80マルク(約4,000円)以上」と、安い設定がされていたこと(80マルク以下の場合の配送料は6.5マルク)が理由だ。「amazon.de」は89マルク以上が配送料無料だが、本の場合は、ドイツ国内なら両サイトとも配送料無料となっていた。配送時間については、通常のサービスに関してはどちらも日数が明確ではなかったので(amazonは1~3日、bolは2~3日)、判断材料に加えないことにした。また「bol.de」では「4時間配送サービス」(BOL Sprinter)を大々的に宣伝していて、9.95マルクの追加で驚異(?)の速達サービスを実施している(注:細かな基準アリで、11月~来年1月までの期間限定)。しかし、ケチな私は今回、通常配送を選択した次第だ。

 というわけで、「bol.de」でCD3枚を購入することにし(当然80マルク以上なので配送料は無料)、この原稿を書いている1週間前、月曜日の未明に注文を済ませた。本をオンラインで注文した際には、「3~4日で商品が届いた」という話を複数から聞いていたので、すっかりそのくらいで届くと思い込んでいた。もちろん、注文したCDには「すぐお届け」と明記されていたし(在庫アリということ)、確認メールもすぐ届いた。そのためギリギリだとは知りつつも、「この話を次のネタにしよう」と、実は余裕で構えて待っていたのだった。ちなみに支払方法は「指定銀行口座からの引き落とし」「クレジットカード決済」「小切手」から選択することができる。

■またまたトラブルの予感……?


高級ブランド店が並ぶ通りも、すっかりクリスマス
 注文したその週には、何らかの品物が配達されようとした形跡はなかった。そして土曜日の未明、bolから新たにメールが2通届いていた。1通は注文の再確認で、2通目には「CD2枚がまずは先に配送される」という内容が書かれており、「今から3~4日後に届きます」とあった。え、これからなの~!? と驚く私。2~3日で届くのではなくて、1週間弱かけて在庫のチェックをして梱包、実際に手元に届くのは、注文から10日以上経過する計算ではないか。しかも残りのCD1枚、結局在庫がないんじゃないか~! いったいいつ、発送してくれるのでしょうかね。

 というわけで、これを書いている時点では、まだ私の手元にCDは1枚たりとも届いていないのです。いつも締切ギリギリに原稿を書いているのが露見してしまった(スミマセン)。やはりシーズンだから混んでいるのかもしれないけれど……。オンラインショップを利用したことで、値段が店で買うよりちょっと安くなった、出かける必要がない、そして「在庫がないらしい1枚」は、店でもモノがない可能性もあるアルバムなので手間が省けたという利点はある。そういう意味では確かに便利なのだろうけど、でもやっぱり私はこれからもCDは店で買いたいなぁ。もし今後利用するなら、バカ安になっている昔のCDをまとめ買いする、もしくはレアなCDを購入する際に限られそうである。それに例の「ドイチェ・ポスト」(Deutsche Post)で配送されるのが、郵便物のトラブルが多い私には、大いなる不安材料なのだ。万が一、テレコムの時(連載第3回をご参照ください)のようなトラブルに再び巻き込まれたら、また悲しい体験談をお届けすることになるでしょう。今は無事CDを受け取れることを祈るのみ、だ。

■本の注文はオンラインで


 最後に少し、本に関して。子供向けのみならず、大人同士の贈り物としても有効な本を、ドイツでは注文して買うことが多い。もちろん、売れ筋のタイムリーな本なら問題はないけれど、例えば大学生が必要となるような本、私のような者がドイツ語の勉強をする際に必要になる参考書や問題集などは、大学近くの本屋に行っても注文で取り寄せることがほとんど。
 それが今ではネットで注文して3~4日で家まで届くので、利用者にとってはやはり便利になったとの思いが強いようだ。本に関しては、オンライン・ショップは大いに利用の価値有り、という周囲の反応も多い。
 オンライン・ショップでの書籍の購入は非常に有効だが、音楽CDに関しては、今のところ店で購入する方に軍配を挙げておこうと思う。

◎著者自己紹介
  '97年より北ドイツに移住、現地にてドイツ語習得を目指すハズが、未だ中級レベルでやりすごす怠け者のフリーライター。ドイツ・ロックとの付き合いは長いが、近頃はドイツ芸能事情にも詳しくなりつつあり「もっとお堅いテーマもしっかり押さえようね!」と自らにハッパをかける日々が続く……(?)。

(2000/12/15)

[Reported by kajo]

アウトバーン通信・その他の回はこちらから


INTERNET Watchホームページ

INTERNET Watchグループinternet-watch-info@impress.co.jp