Internet Watch Logo
サオリ姉さんのSurfin'USA
about サオリ姉さん

言論の自由とポルノ規制 (97/02/24)

ボストンヘラルド紙(2月12日付)に「図書館で子供がポルノ閲覧」というなんとも衝撃的な見出しの記事が掲載された。「男の子が図書館でインターネットを利用し、ポルノを見ている」、という娘の発言に驚いた父兄が、慌ててその図書館に抗議したのだという。図書館側は、「フィラデルフィア判決」で、インターネットの内容検閲をすることを強制できないことを理由に、この件に対処することができない。ボストン市では、即刻、問題解決のための協議会を作り、議論を開始した。

昨年、クリントン大統領によって署名された「Telecommunications Act of 1996」の一部である「Communication Decency Act(CDA)」に対し、ACLU(American Civil Liberties Union)を代表とする市民団体が起こしていた訴訟が発端となったのが、この「フィラデルフィア判決」。CDAの規約である、未成年への猥褻、または明らかに攻撃的な情報伝達に対する刑罰について、定義が曖昧であり、「言論の自由(the First Amendment)」を侵害するという理由で抗議していたもの。昨年6月、フィラデルフィアにおいて、ACLU側の主張が認められるという形で終わった。

アメリカのように、多くの民族や価値観が混在する社会の中では、全ての市民の人権を保護するため、一見「そこまでしなくても…」と思えるほど徹底した主張が重要視されるという傾向がある。ACLUのような市民団体の政府に対する反駁が、アメリカの民主主義維持の上で大きな役割を担っているのだ。

この一件では、市内の児童が使用する公共コンピュータ200台に対し、アクセス制限を課すことが、翌日、ボストン市長より発表された。これにより、ポルノ規制ソフトがインストールされることとなった。

しかし、現在市販されている規制ソフトの中には、猥褻サイト以外もブロックしてしまうものもあり、これについて同市長は、「今のところ可能な最大限の対策」と述べている。これに対しACLUは、裁判の用意があると、またまた意気込んでいるという。

バックナンバーリストへ戻る
INTERNET Watch

Copyright(C), 1995-1997 Impress Corporation.
internet-watch-info@impress.co.jp