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Telemedicine、実現への大きな一歩 (97/03/12)
3月3日に提示されたMedicare(米国老人医療保険)国会修正案。その中で、アメリカ政府はTelemedicineのサポートを表明した。Telemedicineを提供するプロバイダや、遠隔医療従事者へのインターネットアクセスのサポートなどが具体的な内容だ。
Telemedicineとは、インターネット、通信衛星、ビデオ会議などを利用して、患者のデータを転送しながら行う遠隔医療のこと。ディスプレイに映る患部の映像を見て診断を下したり、患者との問診を行ったりする。また、より正確な診断のために、散在する病歴データを集約することも可能だ。
僻地や戦地の治療のほかに、患者の移動時間を惜しむ緊急治療の際に大きく役立つと考えられ、医者の身の危険が生じるような監獄内での治療にも役立つという。Telemedicine Research Centerの解説によると、もともとは宇宙にいる飛行士たちの健康管理のためにNASAが生み出したもので、1960年代初頭にはすでに存在していた技術なのだという。そんなわけで、最近では、インターネットが社会にもたらす大きな利点の1つとして、メディアでもよく取り上げられるようになった。
しかし、現在は国防省の試験プロジェクトなど、限られた範囲でしか活用されておらず、一般市民が日常で恩恵を受けることはほとんどない状態だ。また、医師免許が州内でのみ有効であるために州外診療が問題になるケース、転送データのセキュリティーなど、まだまだ解決しなければならない問題が色々とある。
今回の修正案では、Commission on Telemedicineを設立して、法的問題にも対処していくという。インターネットを利用した遠隔医療の一般化に向かう大きな一歩として期待したい。
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