|
インターネットで「Family Tree」を作ろう (97/05/28)
ある日系人の家族の「Family Tree(家系図)」作成を手伝ったことがある。ご主人は日系3世、その夫人は日系2世で、4世に当たる子供たちは100%アメリカ人として育っている。カタコト英語しか話せなかった母親の思い出を持つ夫人は日本に対する思い入れが深く、自分たちのルーツをどうしても子供たちに残したいとして、10数年をかけて日本の親戚と手紙のやり取りをし、寺台帳から家族史の断片を収集していた。江戸時代の安永(1772年)にまで遡るFamily Treeが完成したのは、手伝いを始めて1ヵ月後だった。
「移民の国」アメリカでは、Family Treeを作成する家庭が多い。勇気ある開拓者から数えて自分は何代目か、自分の中にはどんな血が流れているかなどを知ることが、Melting Pot(混沌とした人種社会)の中で誇りを保つ大きな支えとなっているのだ。しかし、一ヵ所に留まることが少ない生活体系で、記録を辿ることは困難を極める。家族の記憶だけでは、一体どこに何を問い合わせればいいのかもわからない場合が多い。
実は、この作業がインターネットを利用してとても簡単に行えるようになってきている。
5月19日にオープンした「Ancestry HomeTown」では、Family Treeの鍵となる死亡証明書や結婚届けなどの公共データベースを無料で公開。4.95ドル/月で「Library Card」を取得すると、全国の墓地、教会、移民の記録など、通常は入手困難な資料の閲覧を簡単に行なうことができるようになる。毎月発行される会報では、家系情報収集のためのアイデアを提供。時間をかけて詳細なFamily Treeを復元したい利用者の強い味方だ。このサービスを使って、自分の祖先が8代前にアメリカに渡ってきたこと、乗ってきた船や到着した港まで知ることが出来た利用者もいるという。ちなみに、この利用者は今まで45年間、この事実を探し続けていたそうだ。この「Ancestry HomeTown」の利用者は1日2万人に及んでいるという。
このほか、家系の調べ方の解説、歴史上の人物の家系、世界の家系図作成プロジェクトなどに取り組む「Family Tree Maker」、初心者のためにオンラインで簡単なFamily Treeの作成ができる「Family Tree House」など、インターネットをフル活用したFamily Tree作成活動は活発だ。「未知の情報を知ることができる」ことが歌い文句のインターネット。「自分のことを知る」ことにも大きく活用できそうだ。
バックナンバーリストへ戻る