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証明されるインターネットサポートグループの有効性 (97/06/11)
年々強まる米国での反喫煙運動の中、未だに喫煙者である私は、インターネット上のサポートグループを使っての禁煙を試みることにした。本誌5月22日号の集中企画「禁煙」で紹介された「ゆうこ先生の禁煙外来」、ここで開催されている「インターネット禁煙マラソン」は、メーリングリストを使って参加者が励ましあいながら2ヵ月間の禁煙に挑戦しようというもの。ゆうこ先生の専門的なアドバイスと、ヘルプメールに迅速に反応する参加者の書き込み、という形でこの集団マラソンは進行している。日本で覚えた習慣は日本の感覚で治すのが一番と思い参加したが、思ったとおり経過は順調。実に的を射た会話が行われる中、このような企画に遠くアメリカから参加できる便利さを改めて実感していたりする。
このような「サポートグループ」の有効性は、インターネットが一般に利用されるようになった初期の頃から注目されている。インターネット活動の集大成として昨年行なわれた「24 Hours in Cyberspace」では、「Online Lifeline」と題されたサポートグループ活動の紹介が巻頭を飾っている。自閉症の子を持つ親たちのネット交流から得た知識で、生まれて初めて11歳の息子を抱擁することができた父の映像など、サポートグループの有効性を証明してあまりあるほどの説得力だ。
アメリカ女性に多い乳癌患者のサポートグループから生まれた美談が、The Siteの「If it happens to you」で紹介されている。癌を摘出しても再発の不安と共に生きる女性たちが、メーリングリストを使って励ましあう。主治医からは得られないような、復元手術に関する微妙な話題や情報も交換されている。そんな中から生まれた友情は、同じ病を持つ者同士だけに存在する固い絆となって、多くの参加者に希望をもたらしているという。
このように数多く存在するサポートグループの中には、インターネット初心者のための情報検索を助ける役目を果たすところも出てきている。「Support-Group.com」では、アレルギーや拒食症などから、癌やAIDSなど全力で闘わなければならない病まで、多岐に渡った病名が大病院さながらに個々の掲示版と一緒に並んでいる。個々の病気の専門サポート情報も充実しているので、助けを求める人々の入り口として大変便利だ。
人に話すこと、知識を分けあうこと、励ましを受けること、自分が1人ではないと感じること、…。そんな簡単なことで闘える病は多い。少なくとも、こうした助けを得るための距離的障害は、インターネットで十分に解決できるのでは、と期待を込めて見守っている。
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