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「言論の自由」の荒野から子供を守る「フィルターソフト」 (97/07/02)

本誌6月27日号でもお伝えした「米最高裁、通信品位法に違憲判決」というニュース。インターネットでの「言論の自由」を明確にした歴史的な判決として、各地で多くのネティズンたちが喜びの歓声をあげた。判決直後、サンフランシスコSouth Parkには、「Eat The Censors!(検閲など食ってしまえ!)」などのプラカードを持ったネティズンたちが大集合。人権団体側弁護士Bruce Ennis氏が行なう判決の解説に、参加者たちは満面の笑みを浮かべていた。トラックの荷台に立ってのEnnis氏の演説、60年代盛んに行なわれた反戦運動「Freedom Speech」の一場面が戻ってきたかのようだった。

そしてその直後、クリントン大統領がこの件に関するコメントを発表。「インターネットの表現の自由は守られるべきだが、子供たちを不適切な内容の情報から守る工夫が必要」と述べ、テレビ放送から猥褻・暴力などの番組をブロックする「v-chip」のインターネット版に相当するようなシステム考案の可能性もあるとしている。判決をふまえた上での次へのステップと言えるが、「通信品位法」の根底である「子供を守る」という発想は、今後も形を変えながら検討されていく模様だ。

しかし、実際に子供をもつ親や教育機関は、いつ実現されるかわからない政府の保護を待っているわけにはいかない。家庭、図書館、学校などからのインターネットへのアクセスを保護者が管理することが実質上義務づけられた今、判決の中でも奨励されている「フィルターソフト」の需要が今後急激に伸びることが予想される。

人権団体CIECが奨励する「A Guide to Internet Parenting(インターネット子育てガイド)」では「Cyber Patrol」「Net Nanny」「SurfWatch」などのソフトやサービスを徹底紹介。判決を機にフィルター作業に取り組む親や教育者のための便利な出発点となっている。「政府ではなく家族が、子供にとって何が正しく、何が正しくないのかを決めるべき。その手助けとなる使いやすいフィルターソフトを開発するのが我々の責任」と、人権団体らと共に原告側として今回の裁判に参加していた「Cyber Patrol」のMicrosystems Software社CEO、Richard Gorgens氏は述べている。

「教育は家庭から」というのは本来当り前のことのはずだが、急速な科学技術の進歩や複雑化する社会に責任転嫁する場面もあるのが現状で、それはアメリカでも日本でも同じこと。信頼性があり、なおかつ使いやすいフィルターソフトの開発は、この状況の打開には不可欠なのかもしれない。さらに、「どうしてフィルターソフトを使うの?」という会話から、より親密な親子や師弟の関係が育まれれば、今回の判決を真の意味で「自由の勝利」として喜べるようになるのかもしれない。

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