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新世界の憲法「電子商取引振興策」 (97/07/09)

7月1日にクリントン大統領によって発表された「電子商取引振興策」。インターネットを既成概念に当てはめることができない新世界と考えると、その新世界の憲法の一部とも呼べるべき重要な決めごとだ。インターネットの普及にあたり、いつもリーダーシップを取るゴア副大統領が中心となった委員会によって18カ月間かけて練られたのが、「A Framework For Global Electronic Commerce(電子商取引の国際協定の骨組み)」だ。

中でも、多くのニュースメディアの見出しを賑わわせていた「インターネットの関税ゼロ」という項目は注目だ。まだまだ試行錯誤の段階とはいえ、将来連邦政府や州政府の大きな歳入源となることが予想される電子商取引分野を、とにかく早いうちに活性化してしまおうというもの。

では、ホワイトハウスのWWWサイトにまとめられているその他の項目を見てみよう。「電子商取引は、産業規制の下に行なわれるのではなく、個人や市民団体によって誘導されるべし」という大原則の下に決められた9つの項目はこうだ。

  1. インターネット上では電子商取引に対し関税障壁を設置しない。
  2. 電子決済システムに関する規約は、現在システム確立の過渡期であることから、個別に融通性をもって設定する。
  3. 取引を容易にするための、電子商取引の世界共通規約(Uniform Commercial Code for Electronic Commerce)を設定する。
  4. 知的財産を保護するため、WIPO(World Intellectual Property Organization)による著作権保護法を確立する。
  5. 個人のプライバシーを保護する技術を全面的に支持する。
  6. 情報の保守技術確立のため、開発援助を行なう。
  7. 世界を均一にインターネットに接続する努力を、アメリカが率先して行なう。
  8. 内容の品位の管理は、政府ではなく、企業体自身が行なう。
  9. 「技術の標準」の設定は、政府ではなく、企業体が行なう。

技術の変化のスピードを鑑みた、種々の決定権を企業にゆだねる体制は、どことなく陪審員制度を思わせる。個人の尊重、知的財産の保護など、リンカーン大統領のGettysburg演説「Government of the people, by the people, for the people」の精神が脈々と受け継がれているかのようだ。

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