|
火星の岩たちへのキュートな命名 (97/07/16)
7月4日、アメリカ独立記念日に着陸した火星探査機「Pathfinder」。生命体の存在や人類の移住の可能性を秘めた火星からの映像は、Internet Watch「集中企画 火星探査機のことが分かるページ」でも紹介されたように、数々のサイトで見ることができる。なかでも本家NASAの「Mars Pathfinder Mission」は、7月4日から11日までの8日間で3.2億ヒットを記録。火星に辿り着くことができるようになった科学の進歩とともに、それを個人が自宅のパソコンで簡単に見ることができるコンピュータの進歩に感動を覚えた。
連日、ローバー「Sojourner」の一挙一動が報道される中、7月13日のロイターのニュースが目に止まった。
「Yogi」に車輪を乗り上げ、通信異常のため後退できなかったローバー「Sojourner」は、昨日無事正常動作に戻り、調査を続行する。先週調査した「Barnacle Bill」の成分が地球の岩と同じだったことから、JPL(Jet Propulsion Laboratory)は「火星は太陽系での地球の双子星」との結論を出している。「Yogi」岩調査終了後、ローバーは10ヤード離れた「Scooby Doo」に向かう。
そういえば、「Yogi」「Scooby Doo」って、マンガのキャラクターの名前じゃなかったっけ? ラジオで「Yogiは『Yogi Bear』がうずくまっているように見えるところから命名」と聞いたような記憶もある。一体これらの岩の名前はどうやって付けているのだろう? 気になったらすぐにチェックできるのがインターネットの素晴しさだ。ABCNews.comの「Mars Rock Stars」によると、命名の過程は我々の感動とは程遠く、こんな風に進むらしい。
命名の基準は「短く、分かりやすく、覚えやすい」こと。下品なものや、人名もダメ。あまり可愛すぎるのも避けたいが、どうやらJPL内は現在「可愛い」方向に向いてしまっている。というのも、このマンガのキャラクターから付けられた「Scooby Doo」は、Pathfinder Mission地質学者主任Dan Brittの6歳の息子のたっての希望だったのだとか。なんでもJPLでは学者から清掃夫にいたるまで、本人とその家族から希望名を募っているらしい。希望の名前をポストイットに書き、Mission Controlにある大きな火星の岩の写真の上に貼りつける。それらをMission Controlローバー進路決定担当のNathan Bridgesが、数々の候補の中から毎日選んで発表するのだそうだ。
このような過程で決められた名前は現在100以上。「Yogi」や「Scooby Doo」のほかにも、アメリカの民謡に登場する有名な船乗り「Barnacle Bill」、さらには「Rock Stars」にふさわしい岩がこれからもどんどん登場する予定らしい。ちょっと気になるのは著作権問題だが、Bridges氏によると、今のところYogi Bearが所属するWarner Brothersの弁護士からはなんの連絡もないのだそうだ。
バックナンバーリストへ戻る