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広がるAIDSコミュニティー活動、「AIDS Walk」と「AIDS Ride」 (97/07/23)
7月20日の日曜、San FranciscoのGolden Gate Parkで「AIDS Walk」が開催された。AIDS撲滅を目指して、患者やその家族友人はもちろんのこと、趣旨に賛同する者は誰でも参加できるイベントだ。10kmの比較的楽な行程なので、スニーカーと水筒さえあればOK。参加者はみんな手に手をとって話しながら歌いながら、自分のペースを楽しんで歩く。このAIDS Walkはアメリカ各地で多数開催されているが、中でも「San Francisco AIDS Walk」は今年で11回目を迎える老舗とあって、全国から参加者が集まる大規模な祭典となっている。
面白いことにこのイベントは、単に登録料を払って参加するのではなく、スポンサーシステムを奨励している。参加者は登録と同時に、自分の歩く1kmに対して任意の金額を支払ってくれるスポンサーを集める。当日10kmを完歩した参加者には、1ドルスポンサーならば計10ドル、5ドルスポンサーならば計50ドルを支払ってもらう約束をする。それがAIDS Walk基金に寄付され、研究やサポート活動に使われることになるのだ。10kmの道程すら厳しい参加者にとっては、途中でリタイアしても頑張っただけ寄付ができるこのシステムは実にありがたい。歩く者とサポートする者の連帯感が生まれるのも利点だ。このような趣旨が浸透し、今年は参加者25,000人、寄金総額350万ドルと、史上最高の大成功のうちに終了した。
AIDS Walkが和気あいあいとしたAIDSコミュニティーの祭典とすると、同様の目的で行なわれている「AIDS Ride」はAIDSコミュニティーのチャレンジの場だ。長距離を数日間かけて自転車で走行するRideには、大きな決心と慎重な準備が必要となるからだ。
Floridaを皮切りに、California、Washington DC、Chicago、Boston、New Yorkと続く「AIDS Ride」。6月の第1週に行なわれた「California AIDS Ride」は、San FranciscoからLos Angelesまでの525マイル(約840km)の行程を、7日間かけて完走するというもの。HIVに感染した者にとって、このRideを克服することは自分のこれからの人生のチャレンジへの大きな励みとなるという。また、AIDSで友人や家族を失った者は、その追悼のために過酷なルートにチャレンジするという。参加者は事前に事務局で面接を受け健康状態を確認、WWWサイトから得られるトレーニングマニュアルで身体づくりを行なう。長期戦を共にする参加者相互の情報交換もインターネットを通して行なわれた。さらに今年はSilicon Graphics社の協力で、このRideの模様が連日Webcastで中継され、遠く離れて参加者を見守る者の助けとなるとともに、終了後の現在でもRideの疑似体験を可能にしている。
このほかにもアメリカで開催されるAIDS関係のチャリティー行事、サイクリング愛好者のためのチャリティー行事は、Yahoo!に分かりやすくまとめられている。趣旨に合ったイベントが見つかったら、それをめざして旅をするのもいいだろう。きっとお店では買えない、心の暖まるおみやげが手に入るに違いない。
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