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文学とインターネットをつなぐ、Amazon.comの「The Greatest Tale Ever Told」 (97/09/17)

インターネット書店のAmazon.comが開催していたリレー小説コンテスト「The Greatest Tale Ever Told」が、9月12日に完成した。約2ヵ月間にわたり、毎日1文節を募集したこの企画には、連日なんと9,000前後の投稿があったそうだ。採用者に1,000ドルの賞金が出るのも魅力だったが、実のところ人気の秘密は、最初と最後の文節を大御所作家ジョン・アップダイクが書くというところにあったようだ。アップダイクとの共著者として名前を連ねることができるまたとない機会とあって、全米の作家志望者が熱心に応募したという。

このコンテストによって完成した、アップダイク+44名の共著による中編「Murder Makes the Magazine」は、バラバラに書かれたとは思えないほどまとまった作品に仕上がっている。アップダイクの文章や視点の特徴をよくつかんだ、いわゆる「アップダイク通」による投稿が多かったことがうかがえる。文学としてのレベルの高さも、単に「インターネットを使った企画」という域を超えているようにも見える。

こうしたインターネットでの文章創作活動は、インターネット普及以来盛んに行なわれていること。個人が自分の日記や小説を公開するという一般的な方法の他にも、作品を発表したり批評しあう場も数多く存在する。例えば、商業オンラインサービスAOLの「Writers Club」は、こうしたフォーラムの中でも老舗中の老舗。スタッフや参加者による作品批評や創作のヒントの提供、作家を招いてのチャットなどが盛んに行なわれている。SF、Techinical Writingなど、インターネットで人気の項目のほかにも、ミステリー、戯曲、詩、ノンフィクションなどと、その範囲も幅広い。プロの作家になるためのAgent(マネージャー)探しのノウハウまで指導してくれるため、常連ユーザが多いのだとか。同様の活動を行なうフォーラム形式のWWWサイトも数あり、それぞれの参加者が地道だが熱心な創作活動を行なっているようだ。

これらのフォーラムは、どちらかというと最終的に出版をめざす作家の卵たちのサポートグループのような役目を果たしている。自信作ができたら公開したい、それを見て出版の声がかかればなおよい、というのが彼等の本心。しかし、これだけ多くの創作サイトがあるものの、なかなかそのような幸運に恵まれることはない。Agentサイトもあるにはあるが、そのほとんどは営業内容や一方的なアドバイスを掲載したもので、インターネットを介した利点は少ない。コンテストも「作家への登竜門」というイメージからは多少離れた懸賞的なものが多く、本格的にチャレンジするにはいま一つ。プロの作家を目指すには、インターネットを情報源として使い、次のステップとして昔ながらのコンタクトに頼るというのが現状のようだ。

そんな中、今回の「The Greatest Tale Ever Told」は、試行錯誤する作家の卵たちを大いにやる気にさせたように見える。大作家と肩を並べるという夢をかなえてくれたのだ。また、これを企画したAmazon.comも、さらに人気を高めたようで、有名サイトによるこのような企画がもっと増えてくれば、インターネット文学も一段と面白さを増すことになるだろう。

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