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ノーベル賞のカウンターカルチャー「The Ig-Nobel Prize」 (97/10/15)

10月15日(中央ヨーロッパ時間)に発表される1997年度ノーベル賞。きょう明日には世界のメディアで5部門の受賞者とそれぞれの功績が発表されることだろう。ダイナマイトを発明した化学者アルフレッド・ノーベルの遺志により、物理・化学・医学生理学・文学・平和のそれぞれの部門で人類に貢献した者に贈られるノーベル賞は、その分野で賞と呼ばれるものの最高峰。

このノーベル賞に対抗(?)したカウンターカルチャー「The Ig-Nobel Prize」が、機知に富んだハーバード大学の学生によって開催されている。

ノーベル賞が「人類に貢献した事象」、すなわち「奨励されるべき事象」に与えられるのに対して、こちらは「人類に全く貢献しなかった事象」、あるいは「決して奨励してはいけない事象」に対して贈られるというもの。今年は、生物学部門で「異なった味のガムを噛んだ際の脳波測定」の関西医科大学を含むチーム、天文学部門で「観測による月の人面や火星の高層ビル」の発表をした学者Richard Hoagland、通信部門で「ジャンクメールの普及」のCyber Promotions社社長Sanford Wallace、経済部門で「バーチャルペットへの労働時間増加」でたまごっちのバンダイなどが、めでたく受賞した。

こう書くと、インターネットさえ利用すれば誰でもできるパロディーのお遊びのようにもとれるが、Wired Newsによると、10月10日にハーバード大学Sanders Theatreで行なわれた受賞式は、かなり本格的な催し物だったようだ。会場には、現代の科学に一言持つとんがった学生や学者たちに混じって、本家ノーベル賞受賞者も参加している。黄色と黒の縞々帽をかぶっての参加は'93年ノーベル医学賞受賞のRichard Roberts博士。光る蝶ネクタイをしめ、アナウンスの際のクラリネットを吹くのは'76年化学賞受賞のWilliam Lipscomb博士だ。紙飛行機が飛び交う中で進行した受賞式には、現代科学への皮肉に加え、いつも「象牙の塔」にこもりきりの学者たちのストレス発散の意味もあったようだ。遊ぶ時は徹底して遊ぶ、こんな土壌が本当のノーベル賞受賞者を産み出す原動力であるような気がした。

さて、本家ノーベル賞だが、百科事典のブリタニカも特別サイトを立ち上げるなどして、今年はインターネットでの情報量もさらに増えたようだ。また、正式情報からゴシップまで、独自のノーベル賞情報を提供する「The Nobel Prize Internet Archive」では、「ノーベル賞クイズ」などで遊べるのも楽しいが、受賞者のリンク集がとても充実している。一方、オフィシャルサイトでは受賞者情報はもちろん、歴代の受賞会場メダルの写真を見ることもできる。

なんだか「アカデミー賞」や「グラミー賞」のノリになってしまったが、科学をより身近に感じられるのであれば、これもよしとしよう。

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