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SPAMに関するあまり深くない考察(その1) (97/11/05)
SPAMってなに?
「この頃、MLがジャンクメールでSPAMされてるね。」
「広告メールを大勢に送ると、SPAM扱いされるよ。」
欧米インターネット利用者の間でこんな会話が交される。「SPAM(スパム)」とは、ジャンクメールやジャンクメールを送る行為などをさして使われる言葉。コンピュータ用語の中には語源に興味深いいきさつのあるものが多いが、中でも特にユニークな由来を持つSPAM。欧米インターネット文化のちょっとした常識でもあるこのSPAMという単語を、今回は徹底的にチェックしてみよう。
「SPAM」を辞書で引いてみると…
1985年からコンピュータとインターネット用語の無料辞書をオンラインで提供している「Free On-Line Dictionary Of Computing」 で「SPAM」を引いてみると、こんな詳しい解説がある。
Monty Pythonの「SPAMの歌」
ブラックユーモアで有名な英国のコメディーチームMonty Python。弾丸のような言葉のジョークと、女装や聖職者の服装などでタブーを犯した題材、それに加えてシュールなグラフィックスの連続のスキットで、本国はもちろん米国や欧米諸国に熱烈なファンを持つ。彼らのコメディー番組「Monty Python's Flying Circus」は、日本でもテレビ放映されていた時期があるので、覚えている方も多いだろう。現在、Monty Pythonとしての活動は停止しているが、インターネットに「PythOnline」なるホームページを持ち、摩訶不思議な発信を続けている。
マニアックなジョークが好きなネティズンにも人気が高いMonty Python。これがネット用語創造に貢献したとあって、問題の「SPAMの歌」を克明に記録しているファンが存在する。そんなサイトの一つによると、この歌はこんな風に登場したようだ。
(あるレストランでの出来事。大テーブルを占領するバイキングの集団。そこへある夫婦が入ってくる。ウェイトレスに向かってメニューを訪ねる夫。) | |
え~っと、今日のメニューは、卵とベーコン、卵とソーセージとベーコン、卵とスパム、卵とベーコンとスパム、卵とベーコンとソーセージとスパム、スパム卵とスパムとスパムベーコン、スパムソーセージとスパムとスパムベーコンとスパムトマトとスパム… | |
(歌い始める)スパム、スパム、スパム、スパム | |
スパム、スパム、スパム、卵スパム、スパム、スパム、スパム、スパム、スパム、スパム、煮豆スパム、スパム、スパム | |
(歌)スパム! ステキなスパム! ステキなスパム! | |
スパムが入ってないものはないの? | |
ありません。 | |
(だんだんと歌声が大きくなる)スパム、スパム、スパム、スパム | |
(悲鳴)スパムは嫌い! | |
大丈夫、僕が君のスパムを食べるから。僕はスパムが大好き。 |
ただしこれは要約で、実際はもっとしつこいSPAM攻撃と抵抗が展開されるのだが、要はこの連呼に屈して、SPAM嫌いの夫婦もSPAMを注文せざるを得なくなるというオチだ。缶詰のSPAMは低価格で末端の食品というイメージがあり、あまりレストランでは使われない食材。「SPAMが好物」という恥ずかしい状況を面白く使った、Monty Pythonならではの題材だ。
このスキットが放送されたのは、インターネットが普及するずっと以前のこと。ネットでのジャンクメールの横行が確認された頃、ネティズンはこのスキットの「しつこいSPAM」を思い出し、ジャンクメールのしつこさと結びつけた。これが悪名高いSPAMの語源ということらしい。ちなみにこのスキットの画像をチェックできるサイトもあったりする。(つづく)