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サオリ姉さんのSurfin'USA
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年頭の決心、今年は「社会のための」サイトを作るぞ! (98/01/07)

読者の皆さん、A Happy New Year!

クリスマス前後の10日間は、主人と私が同時に取ることのできる唯一の休暇期間。毎日人と関わる仕事にたずさわる主人の休暇の目的は、できるだけ電話が届かない遠くへ逃避することだ。今年のそんな願いは、タヒチのボラボラ島でかなえられた。どこまでも広がるターコイスの海と白い砂浜、海中には3メートルの体を優雅にひらめかせて回遊するマンタの群れ、まさにこの世の楽園というところだ。

が、レンタカーを借りて回った島内の風景を見て、楽園のイメージに暗い影が落ちた。サイクロンによってなぎ倒されたまま放置された民家、老朽化して椰子の木の間で鉄屑と化した車両、錆び付いた配水管から海にしみ出している液体…。そんな中でにこやかに手を振る子供たちの笑顔がまぶしい。

タヒチのダウンタウンであるパペーテの町を訪れると、そこにもホテルの高級感からはかけ離れた世界があった。簡素な作りの商店街には、観光客や船員を相手にしたカジノやバーが建ち並ぶ。そこに裸足で横たわる人々の中には、病をわずらう人も目立つ。自家用バンをタクシーに改造した車には、いつ来るともしれない客を待つ運転手が眠りこけている。私たちが利用した車の運転手は、どうみても家で子供が待っている母親だった。南国の島の一風景として通りすぎるべきものなのかもしれないが、あまりにも「貧しい」という印象が残った。

先進国に住み、生活の基盤の不安もなくインターネットを仕事や余暇をより充実させる手段として利用しているという贅沢きわまりない視点から見たこの光景は、直観的に「辛い」ものだった。タヒチの風景は単なる一例で、途上国にはまだまださらに過酷な状況の世界が多く存在することが鮮明に思い出された。世界の経済不均衡を改善するというとてつもなく大きな問題は、長期に渡って政治経済レベルで試行錯誤がなされていることだし、一個人の感傷で変えられることではない。世界各地で平等にインターネットが利用可能になるには、国や企業の力に頼るしかないのだろうか?

でも、実は、一個人が世界を変えられるかもしれないのがインターネットの本当の力なのかもしれない。「世界レベルでの知識共有」「教育の平等」「住民の世界への発言」「遠隔医療」など、インターネットで実現する素晴しい事象がある。これを「持てる者がさらに持つ」のではなく「持てない者に与える」ことができるのは、今持っている私たちではないのか?

満天の星空を横切る流れ星を見ながら、自分の恵まれた環境に感謝するとともに、自分に何ができるかを考えてみた。私はWWWサイトを作ることができる。身近には地域の救済や教育目的で素晴しい活動をしながらも、技術ボランティアがいないためにWWWサイトを持てない団体が数多くある。現在、娯楽のために使っているネットサーフィンやコーディングの時間を、意義ある発言者のサイト作りのために使うことができたら…。

日米ともに、すでにこのような活動を行っている有志は多く存在するが、遅まきながら私も参加を宣言したい。今年は「社会のための」サイトを1つ作ることを目標にしようと思う。

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