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今週の新着映画サイト (98/02/20)
Spike Leeの宿願ドキュメンタリー「4 Little Girls」
1963年9月15日、アラバマ州バーミングハムの黒人教会の地下に仕掛けられた爆弾は、日曜学校に来ていた4人の少女の命を一瞬にして奪った。当時最も人種差別が激しいとされていたバーミングハム。ここで実際に起こった悲劇は全米に波紋を投げかけ、King牧師率いる人権運動の大きな引き金となった。史実としてあまり語られることのなかったこの事件を、奇才Spike Leeがドキュメンタリー作品として映画化。Black History Month(2月)の特別番組としてケーブル局HBOで公開する。事件の模様やそれが巻き起こした運動の実撮フィルムに加えて、多数の人権運動関係者のインタビューで構成されたこの作品は、今年度アカデミー賞のドキュメンタリー部門にもノミネートされている。
NY大学映画科の学生時代から、この事件を映画化する夢を持っていたLee。学生時代に被害者の少女の父親に制作許可を願い出たが、題材の微妙さもあって断わられた。「Malcolm X」「Do the Right Thing」などのヒット作で監督力を証明した今、ようやく実現したとういう宿願作だ。
WWWサイトでは、作品を軸とした人種運動の総括的な資料が集められている。今まで避けられていた題材を、現在の教室で教えるための教師向けの教材も豊富。WebCastや掲示板などでの視聴者参加を促し、終わることのない人種差別の問題提起を投げかけている。
Coen兄弟の最新作「The Big Lebowski」
LSDで飛び、ボーリングにうつつを抜かす、レイドバック男「The Dude」ことJeff Lebowski(Jeff Bridges)。突然現われた2人組みのギャングに、身に覚えのない借金の催促をされる。さんざん痛い目に合わされた後、どうやら自分は同姓同名の著名人に間違えられたことに気付く。ベトナム帰りのボーリング仲間Walter(John Goodman)の勧めで、その著名人に損害賠償をしかけるLebowski。しかし交渉はこじれて、誘拐事件にまで発展。
「Barton Fink」「Fargo」など、個性の強い妙作づくりで定評のJoel CoenとEthan Coen兄弟による新作。「Fargo」でミネソタという土地柄がうまく使われていたように、今作ではロスの退廃した風土が全編に渡って溢れている。出演はJeff Bridgesに加えて、Coen作品ではお馴染みのJohn Goodman, Steve Buscemi、John Turturroらが勢揃い。
映画の妙味をうまく表わしたWWWサイトでは、各キャラクター解説風に作品を小出しに紹介。クリップも多く隠れているが、ページを辿るうちに何となくトリップしてしまいそうな気分になる。
Robert Duvall監督出演作品「The Apostle」
テキサスに住むペンテコステ派の牧師Sonny Dewey(Robert Duvall)は、豊かな個性と奔放な生活で地元の名声を確立していた。しかし、長年ないがしろにした妻Jessie(Farrah Fawcett)が若い牧師と浮気。加えてJessieの画策で自分の教会も奪われることになり、自暴自棄に暴力をふるってしまう。自己嫌悪に陥ったSonnyは、身分を隠してルイジアナへ。そこで親しくなった老神父Blackwell(John Beasley)と共に、生まれ変わったつもりで新たな信仰活動を開始する。
名優Robert Duvallが惚れ込み、自ら監督したという本作。誘惑と自我の間で悩み続ける人間の性を絶妙に表現した作品として高い評価を得、主演男優賞部門でアカデミー賞にもノミネートされている。グラマー女優Farrah Fawcettの成熟した演技も見もの。
WWWサイトでは作品紹介が楽しめる。