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出産に結婚式、個人WWW中継が流行? (98/03/02)

赤ん坊が産まれる感動の瞬間、それに付き添う父親が感動に涙しながらビデオを回すのも珍しい光景ではなくなった。吉報はすぐにでも親戚や友人に知らせたいのが心情だが、ビデオのダビングや写真の焼回しの時間も惜しんだKarenとBradは、インターネットを使って出産の模様を身内に実況放送することを思いついた。カリフォルニアに住むこの夫婦、今までは電子メールやWWWサイトを使って遠方の両親に孫の写真を見せていたという。インターネットが自然な通信手段となっている家族間だからこそ、こんなアイデアもごく自然に出てきたのだろう。

2人の希望を受けて「赤ちゃん誕生実況中継」を実現したのは、モニターサービスのKidcams社だ。同社はインターネット回線とStreaming Videoを使って、親たちが職場のコンピュータで我が子の様子を見ることができるシステムを提供している会社。産まれて間もない我が子を自宅や託児所に残して仕事に出るのは、親にとっては辛いこと。自らもそんな体験をしたという同社のHarvey夫妻は、双方ともフルタイムのエンジニアだ。今ある技術で少しでもそんな痛みが和らげられれば、という思いでこのサービスを始めたという。そんな家族思いの会社にとっては、「赤ちゃん誕生実況中継」のアイデアは大歓迎の話だったようだ。

2月10日、午前11時33分に元気な産声をあげたChelbyちゃんの誕生の模様は、どうやら無事にWWW中継されたようだ。プライベートな出来事であるから、アクセスは家族と親しい友人だけに限られている。映像も上半身のみに制限されたようだが、リアルタイムで写し出される映像で、遠方の身内は幸せの瞬間を十分に分かち合うことができたに違いない。そのサイトには、現在でも出産の模様を記録したビデオクリップが保存されており、一般向けにいくつかの写真も公開されている。

また、フロリダでは結婚式をWWW中継したカップルもいる。出身地のスペインや米国各地に家族や友人のいるOlgaとBradは、ホームページからRealVideoを使って挙式の模様をビデオ中継。当初は身内のための個人中継のはずだったが、Yahoo!に登録したとたんに世界各地から祝いのメッセージが続々と届き始めたという。2月14日の挙式当日には、予定していた身内のアクセス数を大幅に超える訪問者が殺到し、サーバーが処理仕切れずに、肝心の身内も待たされる状態だったとか。思わぬ反響に当人たちも驚いている様子だ。一般行事だけでなく、個人のこうした中継にもすぐに応用できるというインターネット環境が、世界各地で整ってきたことの表われと言えるのかもしれない。

写真からビデオ、そしてインターネットを使った生中継。個人の大切な瞬間の伝達方法も多様化してきた。個人中継は、遠方の身内には嬉しい技術であるし、他国の日常生活を垣間見るという意味でも貴重な情報源だ。出産まで見せてしまうかは価値観次第だが、個人が簡単にできる生中継サービスは今後も増えそうな気配だ。

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