Internet Watch Logo
サオリ姉さんのSurfin'USA
about サオリ姉さん

百科事典、ニュースリンク、使えるリファレンスサイトを続々発見 (98/03/04)

英文学を専攻した母は、'60年代に購入した英文百科辞典を今でも大切に持っている。30余冊ある分厚い皮張りで、うろ覚えだが当時30万円位したのではないかと言う。戦後の貧困を生きた母の世代には、空っぽの本棚に並ぶ金文字の辞典がステイタスシンボルであった。「'60年から'64年までの最新情報網羅!」というキャッチフレーズが無性に悲しい…。そんな母には申し分けないのだが、頻繁に更新される情報が低料金で利用できる百科事典サイトが、また1つ登場してしまった。

2月にオープンした「Funk & Wagnalls Knowledge Center」は、百科事典の老舗Funk & Wagnalls社によるマルチメディアサイトだ。写真、音声、アニメーションをふんだんに使った百科事典のほか、Reutersからの各種ニュース、クラシック音楽や美術の特集など、特に調べものがなくても楽しめる趣向が凝らしてある。4月15日の正式オープンまでにはプラネタリウム、人体、タイムマシーンなどのセクションも増え、ギフトショップやゲストを招いた講義まで企画している。現在はお試し版で無料だが、正式オープン時には有料化。利用料は年間14.95ドルだ。既存のオンライン百科事典ではBritannica Onlineが有名で、こちらは年間85ドルと多少抵抗のある値段だ。それにしても母の払った30万円を考えると、技術の進歩と単純に言えない時代の変化を痛感する。

また、日本にいた頃、外国の雰囲気が好きで、一流ホテルの売店を覗いては世界の新聞に目を輝かせていた時代も懐かしい。英字新聞はもとより、読めなくてもフランス語やスペイン語の文字面や写真を眺めて、異国情緒を楽しんだものだ。一部数百円もしたので、買わずに眺めるだけだった。しかし、そんな売店よりも種類の豊富な、世界のオンライン新聞を集めたサイトも見つけてしまった。

ノースカロライナ州立大学Greensboro校が制作した「News and Newspapers Online」は、世界の新聞サイトが一目でわかるリンク集。数あるニュースリンク集の中でも、使いやすさで抜群の定評がある。アメリカ、ヨーロッパ、アジアなどの地域から州や国名を選ぶと、その地区のオンライン新聞のリストが短い解説とともに表示される。登録が要らず無料であること、頻繁に更新されること、要約ではなく記事全文を掲載していること、一般新聞であることなどの基準で選ばれているので、クリックした先は完全に無料の現地新聞第1面だ。他国のことを知るにはその国の新聞に目を通すのが一番だが、それがこんなにも簡単に、そして無料でできてしまう時代になったのだ。

米国のニュースサイトで特に便利だと思うのが、過去記事の検索機能だ。私の住むサンフランシスコの新聞「San Francisco Chronicle」を例にとると、検索は'95年まで遡ることができる。百科事典への収録が間に合わない最近の事象などは、このようなニュースサイトでGETすればOKというわけだ。サスペンス映画やテレビ番組の中で、過去の事件を調べるのに図書館のマイクロフィルムを閲覧するというシーンがよくあったが、最近の番組ではこれが皆、自宅のインターネットで検索しているシーンに変わってきている。これもインターネットのリファレンスサイトが確実に一般化していることの顕われだろう。これらのサイトやそれを子供から老人までがいとも簡単に使っている場面を見せたら、母はきっと腰を抜かしてしまうに違いない。

米国にいて、日本の百科事典がオンラインで使えたら、日本のニュースが検索できたら、とよく思う。米国には日本の「知恵蔵」や「Imidas」のような情報書はないが、その分オンライン百科が充実している。やはり文化の違いなのだろうか。

バックナンバーリストへ戻る
INTERNET Watch

Copyright(C), 1995-1998 Impress Corporation.
internet-watch-info@impress.co.jp