Internet Watch Logo
Original CG by SIFCA サオリ姉さんのSurfin'USA

国外から人員大募集! まだまだ足りない米国のハイテク人材 (98/04/08)

 今年になってメディアに頻繁に登場するようになった「ハイテク産業人材不足」の話題。2月9日にCNNで放送されたニューヨークのGemini Systems社の例も、その典型だった。コンピュータ・コンサルティングを行なう同社では、増大する仕事量に人員増加が追い付かない。高度な技術を必要とする資格を満たすのは、特別職ビザ(H-1B)で滞在している外国人労働者がほとんど。しかし、特別職ビザには年間6万5,000という限られた枠がある。全米でのハイテク人員不足は20万と推定されるそうだが、大きな市場に対しての少ない人材では、雇用条件要求もおのずと高くなってくる。競争の激しいヘッドハンティングの中で、Gemini Systems社副社長のWalley氏は生存の不安をぬぐえない。

 外国人労働者を求める声がはっきりと提示されたのが2月25日。専門職ビザ枠拡大を求めて、Microsoft、Texas Instruments、Sun Microsystemsなどの企業が合同で、議会への要請を行なった。CNETによると、Microsoft社の人事部Michael Murray氏は、議員たちを前に「米国ハイテク産業の将来が人材不足で危機に瀕している!」と力説したそうだ。

 国家の軸と化したハイテク産業の危機とあって、議会の決断は早かったようだ。3月早々、共和党議員Spencer Abrahamが「S1723」法案を提出。特別職ビザ枠を早急に9万に改正するとともに、2002年までに11万5,000まで条件に応じて拡大、以降永続的に拡大枠を維持するという内容だ。これに対して民主党議員Edward KennedyとDianne Feinsteinは、9万の拡大枠は来年度から3年間のみにとどめ、あくまでも自国人材養成までの一時的政策とするという対抗案を提出した。4月2日の議会投票では共和党案に指示が集まった。どちらにしても、早急な特別職ビザ枠拡大の重要性ははっきりと認識されていたようだ。

米国での就職を考える外国人エンジニアにとっては朗報となった今回の条例だが、「自国産業を支える人材もいないのか?」と、米国人にとってはちょっぴり心配。Feinstein議員は法案の中で、「将来のハイテク産業のニーズを満たすような自国人材教育」を主張しているが、こちらの重要性も同様に大きい。高校レベルの数学や科学の平均水準の低さは、ハイテク産業に対してのみならず社会的な問題である。加えて一般青少年の間でのハイテク産業従事者のイメージは、未だに魅力を感じない「Nerd」が主流らしい。企業合同議会要請の際、Texas Instrument社のStephen Leven氏が語ったところによると、子供たちは「ハイテク産業で働く人」と聞いて、インク漏れを防ぐポケットのビニールカバーや、湾曲した眼鏡、しわくちゃの服装などを思い描くのだそうだ。Bill Gatesを夢見る子供たちがいるなか、まだまだハイテク産業のイメージチェンジには時間がかかりそう。

 実は、冒頭のGemini Systems社の話にはちょっとしたオチがある。過去にも専門職ビザに関する論議で、議会にH-1B取得者の会社別分布資料が必要になったことがあった。しかし、データがどうにも集まらず、議事が進行しないという事態が発生。追及してみると、移民局のデータを入力できる人間が足りないために起こった、大幅なアップデートの遅延が原因だったとか。…問題はもっと深刻そうだ。

バックナンバーリストへ戻る
INTERNET Watch

Copyright(C), 1995-1998 Impress Corporation.
internet-watch-info@impress.co.jp