Internet Watch Logo
Original CG by SIFCA サオリ姉さんのSurfin'USA

世界初の人間とゴリラのオンラインチャット「AOL Live: Koko The Gorilla」 (98/05/06)

 「Koko、たくさんの人とチャットしているのがわかる?」
 --「Good here.」

 はじめてKokoからの返事がモニターにタイプされた瞬間、なんだか不思議な感動を覚えた。AOLが4月27日に開催したLive Chatのゲストは、ゴリラのKoko。手話で人間とコミュニケーションできるゴリラとして、また人間と変わらないゴリラの愛情を世界中に伝えたベストセラー「Koko's Kitten」の主人公としても有名だ。この日のチャットは、AOLを通して送られた質問をオペレーターが選び、それをKokoの傍にいるPenny Patterson博士が手話でKokoに伝え、Kokoが手話で答えた言葉をタイピストが入力するというかたちで進められた。

 「Koko、好きな食べ物はなに?」
 --「Apple drink.」
 「Koko、お誕生日にはなにが欲しい?」
 --「Birthday. Food and smokes.」

 「smokes」といっても決して煙草のことではない。Kokoが飼っている子猫の名前なのだ。Kokoが理解する単語数は約2,000、手話で表現できる言葉は約500と言われている。Kokoを26年間研究してきたPatterson博士とスタッフの間では、人間の概念の単語を押し付けるのではなく、Kokoが使う単語を理解する形で、共通の意味を見つけ出していく方法をとっている。例えば女性は「lips」、男性は「foot」、「雄ゴリラのMichaelをどう思う?」と聞かれたKokoの回答は「foot, foot, good」。どうやら恋心が芽生えているようだ。

 実は、今回のチャット、Kokoと他のゴリラたちをもっと自然な環境で生活させるための資金造りの一貫として行なわれたという経緯がある。Kokoが現在暮らしている研究所は北カリフォルニアにあるが、狭い敷地や乾燥した天候は、本来ゴリラには適していない。オス1頭に複数のメスという大家族を作り繁殖していくには、もっと広々とした環境が必要だ。現在候補地にあがっているのが、天候も故郷のアフリカに似たハワイのマウイ島。アフリカで絶滅の危機に瀕しているKokoの種族の、第2の故郷を作る計画だ。しかし、保護地区を作るために必要な700万ドルのうち、集まっているのはその半分以下。チャットでKokoをもっと知ってもらい、Kokoの描いた鳥の絵のTシャツを販売して、夢の実現に近づこうというものだ。

 「Kokoの電子メールアドレスは?」
 --「koko@gorilla.orgです。」

 代わって答えたのはPatterson博士。届く先はGorilla Foundationだが、ここではKokoと雄ゴリラのMichaelとNdumeに関するデータやビデオクリップ、マウイ島計画の構想などの情報を紹介。Kokoたちが描いた絵の展示と販売も行なっている。今回のチャットをサポートした環境保護団体EnviroLinkでは、チャット内容の全文を読むこともできる。Tシャツの販売は、両サイトからのリンクを受けて、環境グッズオンラインショップのGreen Marketplaceが行なっており、海外からの申込も受け付けているようだ。

 ちなみに、Gorilla Foundationのデータによると、Kokoの本名は「Hanabi-ko(花火の子)」という日本語。チャットでの感動に加えて、さらに親近感が増してしまった。AOLの発表によると、瞬間アクセス数は7,811で、AOLチャット史上ではMichael Jordanに次ぐ第5位にランクインしたのだという。きっと、彼女のことを身近に感じる人が世界中で増加しているに違いない。

バックナンバーリストへ戻る
INTERNET Watch

Copyright(C), 1995-1998 Impress Corporation.
internet-watch-info@impress.co.jp