サオリ姉さんのSurfin'USA

今週の新着映画サイト (98/05/08)

作家オスカー・ワイルドの苦悩の人生「Wilde」

　1883年、米国の講演旅行を終えて英国への帰路につくOscar Wilde（Stephen Fry）。前途洋々のWildeは、美女Constanceと結婚する。「ドリアングレイの肖像」の成功で世界的に才能を認められた上、二人の息子にも恵まれて幸福の絶頂期。そんな折り、家に招いたカナダ人の青年がWildeを誘惑する。学生時代から密かに抱いていた同性愛の影と直面するWilde。自分の性嗜好に目覚めたWildeの作品はそれまで以上に磨きがかかるが、同性愛に対して強い反感を持つ社会の中で、私生活は苦悩に満たされていく。そして永遠の恋人Bosie（Jude Law）との宿命の出逢いは、Wildeを投獄生活へと導くことに…。
　「この世界には悲劇は二つしかない。ひとつは求めるものが得られないこと、そしてもうひとつは求めるものを得てしまうこと」。「Wilde」は、象徴的な言葉を残した苦悩の作家、Oscar Wildeの一生を描いた英国作品。Wildeには役者・コメディアン・小説家・脚本家など役柄同様多彩な才能を持つ実力派Stephen Fry。Wildeの生涯の恋人Bosieに「Gattaca」のJude Lawが扮する。監督は、「Tom & Viv（愛しすぎて/詩人の妻）」のBrian Gilbert。
　サイトからは映画紹介のほかに、同性愛を違法とする当時の社会の様子を綴った「Society」、Wildeに関する知識をチェックする「Wilde Quiz」などがあり、「Wilde Reading」では、WildeがBoiseにあてた別れの手紙「De Profundis」をStephen Fryの朗読で聞くことができる。

カルト小説映画化「Fear And Loathing Las Vegas」

　1971年のアメリカ。ニクソンは未だ大統領として君臨し、兵隊は未だベトナムに残る、最悪の年。ビートルズは解散し、南カリフォルニアでは大地震が起こり、ローリングストーンズの無料コンサートでは、黒人青年がヘルズエンジェルスに殺され、ウッドストックの平和と愛は完全に終わりを告げる。そんな荒涼とした時代、薬でハイなジャーナリストRaoul Duke（Johnny Depp）がサモア人の弁護士Dr. Gonzo（Benicio Del Toro）を連れ、ラスベガスを舞台に綴る常軌を逸した日記。
　「Gonzo Journalism（独特の誇張表現）」作家として人気の、Hunter S.Thompsonの人気カルト小説「Fear And Loathing Las Vegas」の映画化。ストーリーというよりは、その独特な視点や文体が映画にどう表現されるかが見物。主役のRaoulには「Donny Brasco（フェイク）」のJohnny Depp、相棒に「Basquiat（バスキア）」のBenicio Del Toroが扮する。監督は「12 Monkeys（12モンキーズ）」のTerry Gilliam。
　カルトムードのサイトには、作者Thompsonによる映画作りのジャーナルが満載。「ゴジラVS The Lizards…」と題されたコーナーには、なぜかラスベガスの町に現われたゴジラが人々を次々と抹消していくという、奇妙な映像がある。Jefferson Airplane、Bob Dylan、Janis Joplin、Yardbirdsなどをフィーチャーしたサントラ版も好評だが、劇中曲「A Drug Score」を布袋寅泰が制作したというのも注目だ。

夢のお告げが愛の始まり「Still Breathing」

　Fletcher（Brendan Fraser）は、テキサスのぱっとしないストリート・パフォーマー。Rosalyn（Joanna Going）は、カリフォルニアの金持ち狙いの美術品詐欺師。なんのつながりもない二人だが、それぞれ夢の中で理想の相手との恋に夢中。ある日、ロスアンジェルスで偶然出会った二人は、相手が自分の夢に登場する恋人だと直感するが、現実の理想とあまりにもかけ離れたFletcherに、Rosalynは拒否反応。ロマンチストのFletcherは恋の吐息を信じてしきりに策を練るが…。
　「Sleepless in Seattle（めぐり逢えたら）」と「While You Were Sleeping（あなたが寝てる間に…）」を合わせたようなロマンスコメディー。Fletcherに「School Ties（青春の輝き）」などシリアス物から「George Of The Jungle」などコメディーまで幅広い才能を持つBrendan Fraser。Rosalynに「How to Make an American Quilt（キルトに綴る愛）」のJoanna Going。新人監督James F.Robinsonが脚本も手がけている。
　サイトには、映画情報のほかに、舞台となったテキサスSan Antonioの情報、夢と恋愛の関係をディスカッションする掲示板がある。また、オンラインショップでは台本も買える。