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ハイテク業界バンドが集結、「EFF Rocks The Fillmore V2.0」 (98/06/29)

 San Francisco Chronicleのビジネスセクションの表紙を飾ったのは、1枚のポスター。コンピュータを背景にした滅菌服の宇宙飛行士と、それを囲んだ懐かしいサイケ文字は、「EFF Rocks the Fillmore v2.0」の広告だ。シリコンバレーのハイテク業界の要人たちが、The Fillmoreで一大コンサートを行なうという。なんだかビジネスセクションを読んでいるのだか、エンタテインメントセクションを読んでいるのだか、一瞬わからなくなってしまった。

 サンフランシスコの「The Fillmore」といえば、当時「Fillmore West」と呼ばれた、'60年代ロックの殿堂。The Grateful Dead、The Jefferson Airplane、Janis Joplinなどが凌ぎを削った、有名なコンサートホールだ。現在でも、よほど名の通ったバンドしか演奏することができない。そこで演奏するのが夢という「ハイテク業界バンド」の主要メンバーは、ハイテク産業投資家のMcNamee兄弟、PeopleSoft社長Dave Duffieldなど。Excite創設者たちも加わり、バンドメンバーも各社社員や関連企業の面々が揃っている。

 「ハイテクと音楽は同じようなもの。どちらもパターン認識が必要だから」とのコメントも聞かれるほど、シリコンバレーにはアマチュアバンドが多いらしい。ガレージでの練習から結成されたバンドは決してテクノ派ばかりではなく、今回出演の'60年代ロック「The Flying Other Brothers」、'70~'80年代のポップス「The Raving Daves」、そして'70年代ファンク「Where's Julio」と嗜好も様々。普段の活動は社内のパーティーや他社のイベントというが、音楽趣味の一致で大手ハイテク会社同士の商談がまとまったという話もあるらしい。中にはハイテク産業に関する替え歌専門のバンドもあり、持ち歌も「Ellison(Elvis CostelloのAlison)」「LOTUS(KinksのLola)」「I'm Buying USR(BeatlesのBack in the USSR)」「Sympathy For The Inventor(Rolling StonesのSympathy For The Devil)」と、業界パーティーで受けまくりそうなナンバーが揃っている。

 とはいえ、やはり音的にはみなアマチュアバンド。本来ならばThe Fillmoreでの演奏など夢のまた夢。それを実現したのが、Electric Frontier Foundation(EFF)のチャリティーという名目だ。オンラインの世界での市民権を守る団体であるEFFがこの企画をスタートしたのが去年の話。今年で2回目だから「v2.0」というわけだ。記念すべき第1回にはSteve Jobsの娘で、Appleの前身マシン「Lisa」の名前の由来ともなったLisa Jobsも登場し、会場はさながら「'90年代のウッドストック」と化したそうだ。

 興行収入がEFF資金になり、加えてガレージミュージシャンの夢をかなえるという、ベイエリアらしい企画とあって、地元紙San Francisco Chronicleも力の入った特集を組んでいる。シリコンバレーバンドたちへのリンクも豊富だが、音よりもWebサイトのできの方が数段上、ということもありそうなので要注意!

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