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文系と理系の引き合う関係 (98/07/08)

 文学科卒で趣味も映画や音楽と、限りなく文系の私。でも、なぜか技術やSF関連の本も大好き。摩訶不思議なPCのトラブルをたちどころに直してしまうようなテックな人々に憧れてしまう。加えて、いつかはきちんと学校でコンピュータの勉強をしたい、などという密かな願望まで持っている。一体テックな人達の頭の中はどうなっているのだろう? そんな疑問に答えてくれる統計が、CNNで紹介されていた。

 Varginia州のGeorge Mason大学が、大卒の30歳から55歳までを対象に、「もし大学の専攻をやりなおせるとしたら?」という質問を投げた。結果はIT(情報産業)従事者のうち4割が非技術関係を専攻したい、中でも教育関係を勉強しなおしたいという意見が目立ったそうだ。伸びる一方のハイテク産業は、文系新卒者にとっては羨望の分野だが、理系の心の中にはどうやら文系願望が潜んでいるようだ。この統計では「人間は自分の中のバランスを取りたがるもの」と結論づけており、実際にハイテク産業に従事した後、再度大学に戻り文系分野の授業を受けている例もあると述べている。

 コンテンツと技術が両立してはじめて成り立つインターネット。この理系が文系に引かれる関係はとても興味深い。古典文学を知りたい、児童教育法を学びたい、哲学を専攻したいなど、「文系」と呼ばれるものの中には、単に学問の知識だけでなく、モラル、奉仕、創造なども含まれている。0と1で理論付けるデジタル世界の中でふと心が渇望するのは、こうしたなかなか図式にできない人間ならではの世界が心の中にあるからかもしれない。そして、その渇望が満たされれば、本当に役に立つ良質な産物が生み出されるのではないか。

 幸い米国では生涯学習の概念が定着している。状況さえ許せば、再度勉強したいと思ったとき、抵抗なく再び大学に戻れる環境があるが、日本では再学習があまり一般的とは言えない。しかし、インターネットを活用することで膨大な情報に触れることができるはず。バランスのとれた個人がつながって、バランスのとれたネットの世界が作られていく。これが理想なのだが、往々にしてネットの世界というのは奇妙なアンバランスさを見せることが多い。まず自分のバランスをとることから始めてみようと思う。

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